さらに上から見る自分

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山々に
濃い霧が
立ちこめる。

徐々に
何も
見えなくなって
いく。

それを
ただ
茫然と
眺めている。

世界は
閉ざされる。

自分の行く
道も
閉ざされるのか。

また、
彷徨い歩く
ことに
なるのか。

・・・

気がつくと、
あれから
どこも
歩いていないのに、

頂上、
つまり
てっぺんに
立っていた。

ここは
霧の上。

眼下は
すべて、
霧の中。

眼下は
あんなに
暗いのに、

ここは
こんなに
明るい。

なぜ、私は
ここに
立てているのか?

・・・

ふと
気がつけば、

今度は
またもや
霧の中に
いた。

すでに
何も見えない。

暗い樹々、
湿った空気、

重い身体。

もう、
歩くことも
ままならない。

その場に
へたり込む。

もう、
ここまでか・・・。

・・・

と、
次の瞬間、

またもや
頂上にいる自分。

これは
どうしたことか。

途端に
身体が
軽やかになる。

これは
どうしたことか。

・・・

行ったり
来たり。

霧の中に
入ったり、

頂上に
出たり。

何度も何度も
入れ替わる。

遊んで
いるのか?

何かに
惑わされて
いるのか?

それとも
すべて
夢か?

・・・

本当は、
そのような自分を

さらに
遥か天空から
眺め降ろしている
自分が
いる。

行ったり
来たり

自分を。

それを
見ながら、

愚かだな、

などとは
思わない。

むしろ、
感心して
見ている。

ちゃんと
やるべきことを
やっている、
と。

このまま
見守ろう。

彼は、
自分は、

あのままで
いい。

あのまま
やり続ければ、
本来得るべきものを
得られるだろう。

・・・

そんな、
天空の自分を
一瞬で良いので
思い出す。

それだけで、

安心して
我々は
この世界に
埋没できるんだ。

つづく

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