吹雪の向こうにしか

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吹雪だな。

右も左も
どっちも
何も
見えない。

ホワイトアウト。

遭難かな。

ここまで
かな。

でも
諦めるわけには
いかない。

ここで
止まるわけ
には。

闇雲でも
いいから、
進む。

本当は
吹雪が止むまで
留まっていた方が
よいのだが、

それを
私は
許さない。

闇雲に動いて
自滅すれば
それはそれで
諦めがつく。

そう思い、
体力の限り
進む。

すると
微かな光が
見つかり、

結果的に
その方向へ。

そして
私は
助かった。

・・・

助かったが
そこで
止まるわけには
いかない。

私はすぐに
次の歩みに
入る。

そこがたとえ
またもや
吹雪だったと
しても。

それが
自分の決めた
道だ。

わざと
困難な道を
進む必要は
ない。

できれば
最も楽な道を
こそ
見つけるべきだ。

探すべきだ。

わかっているよ、
そんなことは。

わかっていて、
それでも
行くんだ。

最も
難しそうな
道を。

・・・

私が本当に
探し求めている
光は
あるのか?

前に一瞬だけ
見えた
あの光は。

あれは
幻影では
なかったか?

しかし
幻影だと
思い込ませるには
あの「実感」は
あまりに
強烈だった。

私はあの「実感」を
実在であると
信じることにした。

信じる、
とは
意志である。

信じる、
と決めたなら
最後まで

最期まで

信じ抜くよ。

・・・

何度も
迎えた
夜明け。

寒々と
した。

しかし
あまりに
美しい
夜明け。

美しさに
見惚れていたら、
凍えてしまう。

でも
あんなに
美しいものは
ない。

それが、
人間だ。

だから
私は
人間を
捨てない。

捨てて
なるものか。

つづく

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