思いもよらぬ
あの人の顔を
思い出した。
もう
何年ぶり
だろう。
目の前に
まるで
巨人のように
その顔が
浮かぶ。
顔はただ
じっと
私を見つめて
いる。
何か
伝えたいことが
あるのか?
と
問うてみるが
特に
反応はない。
表情も
ない。
ただ、
何かしら
伝わってくるもの
がある。
それは
しんしんと
静かに降る
雪の
寒さとも
一種の暖かさとも
言えるような
あの感覚に
似ている。
私はただ
その感覚のみを
そのまま
味わっている。
そのうちに、
悲しみとも
喜びとも
言える
感情が伝わって
きた。
複雑だけど
シンプルな
気持ちたち。
久しぶりに
連絡してみるか、
と
思う。
軽くメールを
してみた。
すぐに
返ってきた。
ちょうど
連絡しようと
思ってたんです。
ちょっと
心の整理を
つけたくて。
いろいろ
ありまして。
きっと
このタイミング
なのだろう。
今度は
開花の予兆を
感じ始めた。
つづく