
その時期は、
皮膜で
全身を
覆われている
感覚が
ずっとあったんだ。
鬱陶しいし、
気持ちも
悪かった。
でも、
その皮膜を
取り払ってしまう
ことは
とても怖かったんだ。
勇気が
要ったよ。
でも
決心した。
この皮膜を
取らない限り、
私は前には
進めない、
と
やはりどこかで
よくわかって
いたんだ。
皮膜を取る
ためには、
ある具体的な
決断と
行動が
必要だった。
期限も
わかっていた。
だから私は、
必死の想いで、
そうそう
まさしくそれは
必死、だった、
エイヤッ!と、
それを
したんだ。
そして
その直後に、
あぁ今、
ここで
皮膜が溶けるな、
と
わかった。
それは
すぐに
溶けた。
その時点でも
怖かったよ。
でも、
みるみる
溶けていったんだ。
時間にして
5分も
かからなかった。
全身から
皮膜が
綺麗さっぱり
なくなった。
なくなって
みると、
ただの
「普通」
が
待っていた。
あれ?
なんだこれ?
普通、じゃん。
・・・と、
実際に口に
出したと
記憶している。
皮膜を
取るまでは
あんなに
怖かったのに、
皮膜が
なくなると
普通、になった。
普通の自分
に。
なんだ、
こんなことか、
と
思うと同時に、
ついさっき
までの自分が
普通じゃなかった
ことに
気づいたんだ。
普通、
じゃなかった
んだ、
私はずっと。
これまでの
人生、
ずっと。
これまで
「私だ」と
思っていた
ものは、
私では
なかった。
なんだ、
こんなことなら
もっと早く
やっとくべき
だった。
少しだけ
後悔したが、
しかしとても
良い経験
だった。
それが私の
初めての
「脱皮」。
人間も、
脱皮をするんだ
というのを
知った瞬間。
そこから、
脱皮をサポート
することこそ、
私がすることだ、
と
わかった。
私の
クライアントさんは
必ず
どこかで
脱皮する。
なぜなら
そういう人を
選んで、
クライアントさんに
しているから。
皆、
「普通」に
戻っていく。
世の中全員が
そうなると
いいな、と
思う。
つづく