大小様々な
トゲのある、
変な物体が
降りてきた。
トゲが
刺さらない
ように
注意しながら
手のひらで
受け止める。
一見すると
ウニのようだが、
それにしては
トゲがあまりにも
長い。
よく観察
すると、
何かの卵の
ようだ。
何かが
生まれるの
だろうか?
・・・・・・
私達は、
あまりにも自分の
常識と
かけ離れた
「わからないもの」
を
目の当たりに
すると、
まずは
恐怖と拒絶感が
生まれる。
本能として
当然のことだ。
だがここは
本能に
流されては
ならない、
気がした。
決してこれが
どこかに
飛んでいって
しまわないように、
丁重に扱う
ことにする。
・・・・・・
それは
育った。
卵のように
割れて
中から何かが
出てくるわけでは
ない。
そのものが
育った。
形状は
より歪(いびつ)に
なり、
より
わけがわからなく
なった。
しかしそれでも
丁重に扱う。
それが
どこかに飛んで
いかないように。
・・・・・・
それから
23年経った。
まだそれは
ここにある。
相変わらず
卵のように
割れるわけでは
なく、
それは
無言のまま
ここにある。
形は
より歪に、
そして
かなり巨大に
なった。
これが何か?
は
相変わらず
わからないが、
しかし
本当はもう
わかっている。
知っている。
だが、
まだもうしばらく
わからない
フリを
していよう。
・・・・・・
それにしても
歪な形だ。
どう見ても
健康体とは
言えない。
何となく
それが何かが
わかればわかるほど、
今のこの形が
不健康だと
わかる。
だから純粋に
心配になる。
大丈夫かな。
これが何か?
わかる日は
近い。
それまでに
何としてでも
私は私を
整えさせねば。
つづく