無に等しい。
最初から
何も
なかったんだ。
そう思えば
楽になる。
でも、
それは確かに
存在
したんだ。
残念ながら。
それは
確かにここに
息づいていた。
生きていた。
今はもう
跡形もないが。
それの
遺志を継ごうか?
でも
私には私の
意志があるし。
そもそも
何をすれば
遺志を継いだことに
なるのだろう?
それは
確かに
自由だった。
自由奔放
自由自在。
私はいつも
羨ましかったよ。
でもそれは
消えたんだ。
消える、
ということが
悪いわけでは
ない。
むしろ
跡形もなく
消える、
ということに関して
私には
言いようのない
憧憬すらある。
消える、
からこそ
在る、
に意味が出る。
在った、
その時代に
意味が出る。
在ったものが、
無くなった。
消えた。
まるで最初から
なかったかの
ように。
でも、確かに
それは
ここに在ったんだ。
つづく