そして何も無くなった

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狙いを定めて
進みたいのに、

どこに
狙いを
定めれば良いか?

見当も
つかない。

ということが
ある。

いや、
正確に言えば、

本当は
わかっている
のだ。
頭では。

わかっては
いても
なぜか

感覚的に
納得が
いかないのだ。

もっと
別の何かを
目掛けて
行かなければ
ならないのでは
ないか?

どうしても
そのような問いが
目の前に
立ち塞がる。

だから
その問いと
向き合うのだが、

答えが
わかる気が
しない。

わかって
いるのに
まったく
わからない。

この感覚は
なかなか
辛い。

・・・

高い視座に
上ってみる。

かなり
上の方から
全体を
俯瞰する。

しかし
これでは効果は
ないらしい。

そういうこと
ではないのだ。

では、

もっと深く
潜るか?

いや、
それも違う。

どうも
観点がすべて
本質的に
違うのだ。

・・・

ふと、
私はこのまま
ここにいて
いいのだろうか?

そんな
根本的な
気持ちなった。

ひょっとして
ここにいること
そのものに

意味が
なかったのか?
と。

ここで
YESと答えて
しまえば、

これまでの
私の人生は
何も意味はなかった
ことに
なってしまう。

恐ろしい
問いだ。

しかしもう
向き合わねば
ならない。

なんだ、
ここまできて
人生、
リセットかよ。

・・・

スーッと
落ちた。

堕ちた。

どこまでも。

闇の中を。

そして
私は
消えていった。

・・・

何も無くなった
その状態の
まま、

どれだけ
眠っただろう?

じっと
見つめる
目と
私は対峙
していた。

ただ
じっと
見つめるだけの
目。

私自身の
目だ。

他の誰
でもない。

大きな目
だった。

私の全身
よりも
何十倍も
大きい。

目に表情は
なく、

ただ
見つめるだけ
だったが、

対峙している
間に、

ふと、

これが私か、

思えた。

いや、
正確には
私、
ではない。

人、だ。

すべての人の
大きさ、だ。

・・・

そして
私は
もとに戻った。

異常な状態に
入っていた
ようだ。

生まれてから
ずっと。

我に返ったら
もう
何もなかったよ。

何もない
ところからの
スタートなんだな、

そこで初めて
人というものを
理解できた
気がした。

私には
何もない。

私には
何もできない。

それが
私。

それが
人。

それを
しっかり
理解したとき、

やっと
足が動き始めたよ。

その
向かう先に

私が
本当に
狙いたいものが
あった。

22年前の話。

つづく

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