鬱蒼と茂る
森の中を
彷徨っていた。
霧も深く、
どこをどう歩いて
いるのか、
ついに完全に
見失った。
現在地が
わからない。
向かうべき
方向も
見当もつかない。
どちらの方向に
向かっても
道が開かれる
感覚はなかった。
かといって
ここに動かずに
いることは
もっと危険だと
わかった。
まさに
八方塞がり、
絶望感。
・・・・・・
こんな時、
突然、
光が差してくる
こともあった。
しかしそれは
たまたま、
だ。
正確には
たまたまでは
ないにせよ、
それは
自力で成した
ことではない。
自力では
何も
できなかった、
という
その無力感は
結果的には
人生の
宝物となる。
その経験を
するかどうかで、
人生の展開は
大きく変わるし、
自分以外の
「世界」との
関わり方も
根本から変わる。
が、
今はそれを
言っている場合
ではない。
わかるのだ。
ここは
自力で何とか
せねばならない。
待っていては
ならない、
のだ。
・・・・・・
八方塞がり
の
絶望感。
これと
一つになる
ことだ。
完全に
一つになる
ことだ。
それは
自分自身が
崩壊してしまう
恐ろしさがあるが、
それでも
一つになる。
絶望、そのもの
となる、
のだ。
・・・・・・
私は
絶望。
何も
できぬ。
ただ、
滅びゆく
だけの
存在。
全てが
滅びゆく
その
一コマが
私、だ。
・・・・・・
ここまで
行って
始めて、
内側から
中心から
湧き上がる
「何か」
がある。
それは
一つの「意志」
の塊となって
自分の中に
浮上する。
自力突破の
礎。
源。
そして、
この森そのものを
壊し、
変質させる
鉾となる。
つづく