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顔を上げる
こともできない
激しい逆風の
中で、
それでも
真正面から
風に立ち向かう
自分自身を
馬鹿だなと
思う。
何も
好き好んで
一番難しそうな
世界に
入らなくても
いいのに。
しかし、
私は最短で
行きたいのだ。
誰が何と
言おうとも、
ここに
最短ルートが
あるならば、
どれだけ
難易度が高かろうと、
私は他の道という
選択肢を
捨てる。
何も考えず
当たり前のように
捨ててから、
悩む。
後戻りの
できない
取り返しの
つかないところまで
行って初めて
人間らしく
悩むことに
している。
悩まずに進む
のは
不健全だと
思っている。
ちゃんと
丁寧に
悩む。
心の苦悩を
感じ
受け取る。
泣き叫びたく
なったら、
しっかり
泣き叫ぶ。
ただし、
もう後戻り
できない状況に
なってから。
悩もうが
悩むまいが、
迷おうが
迷うまいが、
関係なく
決めた道を
行く。
最短の道
を。
それが
自分自身との
約束だ。
約束を破る
ということは、
自分という
存在の放棄
であると
私はよく
知っている。
それだけは
すまい、
と
決めている。
・・・・・・
逆風の中で
ついに私は
動けなくなった。
どうやら
体力の
限界だ。
風に
飛ばされない
ように
その場に
うずくまるのが
精一杯だ。
それでも
這って進もうと
する。
這うことすら
できなくなれば、
心の中で
だけでも、
進もうとする。
そしてもし
心まで
折れてしまったら、
それでも魂は
進もうと
し続ける。
そして
私の魂が
折れることは
ない。
どこまでも
私は
人、であることを
やめない。
やめて
たまるか。
人である限り、
魂は
折れないのだ。
つづく