分け入っても分け入っても

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大きな葉
だな。

一枚が
こんなにも
大きいのだから、

いったい
この樹は
どれくらい
巨大なのだろう?

葉は鬱蒼と
繁り、

幹は
見えない。

幹を見たいな
と思い、
奥へ奥へと
分け入るが、

いつまで経っても
幹は
見えないままだった。

・・・・・・

夕べ、感じた
あの
眼差しは
何だったのだろう?

誰かが
どこかから
私を
見つめている。
じっと。

その視線が
ずっと
気になり
落ち着かなかった。

見守る視線
というよりも
どちらかと言えば、

私を試す
ような。

もっと言えば、
私の粗探しを
しているような。

・・・・・・

夜明けと
共に、
ここに来た。

ここを
目指してやって
来たのだ。

私は
知りたかったのだ。

その
本質を。

幹を。

幹さえわかれば、
自分の
動き方は
大概、わかるだろう。

ところが
その幹は
依然、見えぬまま。

・・・・・・

私をじっと
見つめる目
の正体は、

何となく
もう
わかっていた。

そいつ
こそが、
幹、だ。

私が幹に
辿り着けない
ということは、

そいつは
まだ
私を
認めていない。

だからきっと
今は、
どれだけ
足掻いても、

幹は姿を
見せて
くれないだろう。

きっと、
私の
足掻き方が
良くないのだ。

不純物が
入っているのだ。

・・・・・・

そうなれば
もう、

私がやることは
ただ一つだ。

足掻き続ける
こと。

今の
足掻き方が
まずかったとしても、

私には
私のできることしか
できない。

もちろん
いろんな足掻き方を
試してみるが、

もう、
上手くやろう
などという気持ちは
捨てた。

ただ、
常に全力で
やろうと思う。

私も
身が持たなく
なれば、
それで終わりだ。

であれば、
きっと私は
それだけの存在
だった、
ということだけの
ことさ。

・・・・・・

足掻き始めて
から、

もうすぐ
30年。

とりあえずは、
30年は
生き続けた。

いつ
倒れるか
わからない。

幹は
いまだに
見えないのだ。

ただ、
わかるように
なってきたのは、

幹は
迷い始めている。

私に
姿を見せるか
どうか?

今は真剣に
悩んでいる。

幹よ、
それでいい。

迷った上で
好きにしろ。

私の純度は
確かに
高まっているよ。

これからも
高めていくよ。

つづく

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