ここは海の底だ

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海が割れて
その裂け目に
落ちたとしても、

不変の青空
は観える。

落ちながらも、
観える。

きっとこれから
私は水中に
没し、

深海まで
沈むだろう。

しかしそれでも
今、観えている
あの青空だけは
忘れまい。

そう
固く誓ってから
意識を失う。

それは
短時間のこと
だったかも
しれない。

しかし
まるで生まれ
変わったかの
ような感覚で、

私は
目を覚ました。
何も見えない
真っ暗闇で。

やはりここは
深海だな。

光も
届かない。

静寂では
あるが、
怖い。

何がいるのか、
何が 
飛び出して
くるのか、
わからない。

不気味な
恐怖が
鳥肌を立たせる。

が、
これは最初から
覚悟していた
ことだ。

私はこれに
耐えられるように
自分を
鍛えてきた
つもりだ。

だが、
怖い。

怖いが、
耐える。

そして
ここですべき
ことをする。

胸には
ちゃんと
あの青空が
ある。

これさえ
あれば、
何とか
いけるだろう。

水圧は
すごい。

思うように
動けない。

10動こうと
思っても、
0.1くらいだろうか。

しかもこの
粘着質な密度。

スローモーション
にもならない
くらいの
超スローモーション
で、

やれることは
やり続けよう。

やり切ろう。

再び、
青空のもとに
出られるのは、
遥か彼方の
未来だろう。

その未来には
あえて
想いは馳せない。

ただ、
今ここにのみ
全意識を
集中させる。

青空のみ
胸に
抱きながら。

つづく

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