これまでとここからの違い

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風が
四方八方から
同時に
吹き寄せるような
圧迫があり、

一瞬、訳が
わからなく
なったが、

すぐに
霧は晴れた。

霧が舞い上がる
その先に
見えたものは、

やはりいつもの
大海原。

晴れた空、
太陽、
輝く水面。

それが
永遠に広がって
いるかのよう。

実在のレベル
ではきっと
本当に
そうなのだろう。

この光景が
観えるという
ことは、

ようやく
山場は越えた
ようだ。

果てしなく
連なる
山脈のような
「現実」を

一つ
縦走し切った
ということか。

だが今回は
休む気配は
ない。
まったく。

それどころか
すでに
アイドリングが
バンバン
かかっており、

今にも
急発進しそうな
勢いだ。

ここからが
本番、
というわけだ。

それはもちろん
望むところ。

だが
ちょっと待て。

その前に
やることが
あるだろう。

ここまで
縦走してきた
山脈の
全体像を、

その
正体を、

しっかり
認識すること。

自分が一体、
何に
必死に
取り組み足掻いて
きたのか?

その本質を
しっかり理解
せねば、
ここまで来た
甲斐がない。

そう思い、
振り返れば、

青空のもと、
その山脈は
全貌を
現していた。

一つ一つの
山は大きく、
激しく
屹立している。

すべての
山頂を、
真正面から
直登し、
誠実に
乗り越えてきた。

その一つ一つに
思い出と
思い入れが
あるが、

もうそれは
過去の
ことだ。

もはや何の
未練も執着も
ないことを
確認し、

私は
再び前を
向いた。

その瞬間に
はっきり
認識できた。

これまでは
「登り下り」。

登っては
下り、
下っては
登り直し。

その連続。

それらを
腐らずに
しっかり
やり通す。

これがテーマ

縦走だった。

では、
ここからは?

「掴まって飛ぶ」

・・・か。

何に
掴まるのだろう?

だがそれは
間もなく
ここにくる、

のは
わかる。

私は
そいつに
完全に掴まり、

身を預け、

一気に
飛んでいく。

つづく

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