私の人生

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遠くの方に
橋が見える。

あそこまで
行けば、
なんとか
対岸に
渡れそうだ。

しかし、
遠いなぁ。

霞んで
いるなぁ。

・・・・・・

あの橋のみを
頼りに
進んでいって
良いものか?

あの橋に
辿り着ける
保証はない。

それよりも
そういった
すがるものなしに

ここを渡る
術を
見出すべきか?

わからない。

たった一つの
可能性に
賭けるのは

怖いなぁ。

・・・・・・

仲間達は
皆、

あの橋は
きっと
幻だ、

と言う。

確かに
そう言われれば、
そんな
感じもする。

蜃気楼の
ような、
頼りない姿
だ。

しかも
我々が渡れる
だけの
強度があるか
どうかも
わからない。

こんな
頼りなさげな
状態で、

ただただ
時間と労力を
費やして、

あそこに
向かう意味は
あるのだろうか?

・・・・・・

だが、
私には
妙な確信が
あった。

根拠のない
自信が。

あそこしか
ない、

のだと。

あれ以外の
術はない、

のだと。

しかも、
一刻も早く
あの橋に
辿り着かねば、

渡るチャンスも
なくなるだろう、
と。

なぜ
そう思える?


問われても、

わからない、
としか
言えない。

そんな状態
だから
皆を説得する
ことは
できなかった。

・・・・・・

だから、
走ったのだ。

たった
一人でも
良い、
と。

まずは
私自身が
あの橋まで
辿り着こう、と。

たとえそこで
最悪の結果が
待っていたと
しても。

この確信を
信じられる自分に
なるために、

これまで
私は
進んできたのだ、
と。

もしこの確信が
間違っていても、
もう

私には
後悔はない。

・・・・・・

そう思って、
一人、走り、

何人かは
ついて来て
くれたが、

私は彼らの
ペースには
合わせず、

最後は
たった一人で
橋に
辿り着いた。

着いた!


思った瞬間、

橋は
消えた。

それは
幻だったのだ。

やはり、
幻影
だったのだ。

・・・・・・

そうか。


私は
納得した。

これが
私の
運命か。

自分で選んだ
運命だ。

それなら
潔く
それを
受け止めよう。

ただ、

対岸に渡る
ことのみは、
決して最期まで
諦めまい。

もう
私には力は
残っていない。

であれば、
途中で死んでも
良いから、

あの対岸を
目指して、
一人
ここを泳ごう。

確実に
途中で
力尽きるだろう。

だが、
どうせ私の
命だ。

最期まで
生ききるぞ。

・・・・・・

そうやって
川を
渡り始めた。

急流の
川。

対岸が
見えないくらいの
大きな川。

それでも
渡り始めたら、

不思議な
ことが
起きた。

力が
満ちてくるのだ。

内側から。

だから
どんどん
泳げた。

なぜこんなに
力が
満ちるのだろう?

ひょっとして
もう、
私は
死んでいるのかも。

そう思いながらも
私は
泳ぎ続けた。

それでも、

対岸まで
行ける!

とは
到底、思えない。

でも、
私には
これ以外の
選択肢は
ない。

私は
泳ぎ続けた。

力は
湧いてくる。

永遠に
これが
続いてもいい。

これが
私の人生だと

その時
本当に
そう
思えたんだ。

つづく

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