つなぐ

循環が見えれば大したもの

誰もが自分のことを

あるがままに知ることは

怖いです。

 

同様に、組織の実態を

あるがままに知ることは

立場が上の人になればなるほど

怖いです。

 

しかしそれを見つめる勇気を

持たなければ、

人は望む人生を生きることは

できませんし、

組織も望む未来を築くことは

できません。

 

平井さんがなぜ、

本来の自分を取り戻すことができたか?

 

それは、自分の心を

あるがままに勇気を奮って

見つめたからです。

つまりは、

自分と向き合ったからです。

 

そしてその結果彼は、

人とあるがままに向き合うことも

組織とあるがままに向き合うことも

できるようになりました。

(→前回記事)

 

ある時から平井さんはとても面白い表現を

されるようになりました。

「たけうちさん、

今、あの部署の循環が悪いように

思うんですけど」

とか、

「我社の全体的な循環は今は

とても良いですね」

とか。

 

「循環」という言葉を使うようになりました。

 

一見、わかりづらいですが、

でも、平井さんの言いたいことは実によく

わかります。

 

人間に「気の循環」や「血液の循環」があるように、

組織にも何かしら循環しているものがあります。

 

気持ちよく循環できている時は、

組織は非常に健康的ですが、

循環が滞ると、あちらこちらに問題や確執が

起こります。

 

組織をあるがままに見つめるようになった

平井さんは、

何か具体的な問題が起こる前段階の

わずかな「循環」の変化を

察知できるようになったのです。

 

なので、

「たけうちさん、◯◯部の循環、

今、どう思いますか?」

「そうですね。

ちょっと滞り気味ですね。」

「やっぱりですか。

誰が、滞りの原因でしょうか?」

「AさんとBさん辺りのような

気がしますが、どうですか?」

「なるほど、であればきっと

Bさんだな。」

・・・みたいなやりとりが

普通に行われるようになりました。

 

そして問題が起こる以前に

何らかの手を打つのです。

 

手を打つ、というのは大仰なことを

するわけではなく、

例えば、平井さんがBさんに声をかけてみたり、

面談をしたり、

私が単発のコーチングをしたりします。

 

もしくは、可能であれば、

Bさんの役割を少し変えたり、

グループを変えたりします。

 

できるだけ簡単な方法で、かつ

有効な方法を相談して決めます。

 

目的は、

「循環を良くすること」

です。

 

・循環さえ維持しておけば、

組織というのは、ある意味勝手に

成長していくものだ。

 

・成長させようとして無理に引っ張るよりも、

良い循環を保つことの方が、

結果的には効率が良い。

 

これが平井さんの発見でした。

 

あるがままに自分と向き合えば、

あるがままに人や組織と

向き合えるようになり、その結果、

これまで見なかったものが

見えるようになる、ということですね。

 

平井さんの場合はそれを

「循環」と表現しましたが、

表現の仕方、感じ取り方は

人それぞれでしょう。

 

大切なのは、

人や組織への感受性を

養うこと。

 

感受性が豊かになれば、

組織活動はもっともっと

楽しくなるでしょう。

 

つづく

 

私はあなたのことが嫌いでした

後に、平井チームのナンバー2的な立場になる

生田さん(仮名)という男性社員さんがいます。

彼は、当時まだ20代後半。

しかし、公開コーチングにおける平井さんのメッセージに、

いたく感動しました。

(→前回記事)

 

後に生田さんは私に教えてくださいました。

 

「実は私は、平井のことが嫌いだったんです。笑

何を考えてるかわからない不気味なところが

ありましたので。

それに、社長の顔色を第一に伺っているのが

わかってましたし。

でも、あの一言で見直しました。

偉そうな言い方ですけどね。」

 

そしてさらに言われました。

 

「いつかの飲み会だったと思いますが、

そのことを正直に私は平井に伝えたんです。

私はあなたが嫌いでした、って。笑

そうしたら、平井は何て言ったと思います?」

 

「何でしょう? ごめんなさい、とか?」

 

「いえ、平井は真顔で私の話を聴いた後で、

真顔で言うんですよ。

今の俺は好きか?って。

恋愛じゃないんだから・・・。笑」

 

でもその時に、

あぁこの人は本当に可愛らしい人なんだ、

この人と一緒に会社を良くしていきたいなぁ、と

生田さんは本当に思えたそうです。

 

さて、そんな可愛らしい平井さんですが、

公開コーチングを一度やって

味を占めました。笑

 

社員さん達に何をどうメッセージしようか、

と思うと硬くなってしまうのですが、

コーチング形式で私に向かって自由に喋っていると、

自分でも気づかなかった想いや発想が、

次々に出てくる、と。

しかもそれをリアルタイムで社員さん達に

見せられるので、とても伝わりやすい、と。

 

「でも、特に打合せもせずにやるので、

変なことを口にしないか不安になりませんか?」

と私が問うと、

「いやいや、それよりもあるがままの私を

見てもらう方がよほど良いです。

おかげで、リーダーシップをとるのが

とても楽になりました。」と。

 

ただこれは、かなり覚悟の要ることです。

常日頃から様々なことを真剣に考え続けている

彼だからこそできること。

オープンな彼だからこそできることです。

 

結局彼は、公開コーチングを毎月一回は定期的に

開催するようになりました。

時折、社員さん達に向かってメッセージを投げる

だけでなく、

その場で社員さん達とのキャッチボール、意見交換

なども入れるようになりました。

時には、社員さんの一人に前に出てもらい、

皆の前で議論することも。

 

この場から様々なプロジェクトチームが

自然に発生しました。

新規事業が立ち上がったり、新会社が立ち上がる

きっかけにもなりました。

 

手法が大事なわけではありません。

 

大事なのは、真本音の想いを伝えることです。

最も伝わりやすい方法で。

 

平井さん流リーダーシップとは、

・人と人をつなぐこと

・真本音の想いを伝えること

この2本柱が基本です。

 

「私は、社員を主役にするリーダーになりたい」

という指針を持った平井さんが自然に編み出した

自分流のリーダーのスタイルです。

 

つづく

 

あなたの心は自由ですか?

目を閉じてください。

 

今、自分が一本の道の途上にいるイメージを

してください。

 

イメージといっても、頭で無理に創り出すのではなく、

自然に浮かび上がってくるイメージを

待ってください。

 

道が見えますか?

 

道の先に目を向けてください。

 

これから自分が進んで行こうとしているその道は

まっすぐな一本道ですか?

 

それは伸びやかに未来に向かって、

淀みなく伸びていますか?

 

それは気持ちの良さそうな道ですか?

 

その道の先には、光がありますか?

 

もしそういった感覚がなければ、

あなたには何らかの修正が必要です。

 

今立っている道が違うかも知れません。

 

もしその道で良かったとしても、

その道の先に障害があるのでしたら、

今はまだ、その障害ときちんとあなたは

向き合っていないのかも知れません。

 

今実際に、どれだけの苦境にあろうとも、

あなたの中から自然に浮かんでくる道が

まっすぐに気持ちよく伸びているのであれば、

必ず現実においてもあなたの道は開かれます。

 

もしそうでないならば、

今、何らかの修正が必要です。

 

さらに問います。

 

そのあなたの道の先には、

大勢の人達の笑顔が待っていますか?

 

それとも、それはあなた一人だけの道ですか?

 

もし、あなた一人だけの道だとしたら、

今の現実においては、あなたは独りよがりな

選択をし続けている可能性があります。

 

これから自分の未来がどうなるのか?

 

それを最もよくわかっているのは、

本当は自分自身です。

 

なぜなら、

真本音で進む未来は必ず実現するからです。

 

実現しないのであれば、

それは真本音の道ではないのです。

 

もちろんそれは短期的な意味ではありません。

 

短期的に見れば、物事が上手くいかないことは

たくさんあります。

それらの経験が、真本音の未来を実現するための

財産にもなります。

 

ただ、心を鎮めて自然に浮かぶ道が

まっすぐではないとしたら、

その道は長期的に見ても、あなたの望む未来は

実現してくれません。

 

今、自分は真本音の道にいるのかどうか?

 

今、自分は真本音の通りに進んでいるのかどうか?

 

それを一番よくわかっているのは、

自分自身です。

 

だから、未来がどうなるのかは

自分が一番よくわかるのです。

 

しっかりと、

今あなたの中にある道を見極めた上で、

自分に降りかかる現実と対峙しましょう。

 

先日、あるクライアントさんがおっしゃっていました。

 

「自由とは、何でしょうね?」

 

その方は、続いてこう言われました。

 

「私は、どれだけ状況が自由であっても

心が自由でなければ、それは自由とは言えないのではないか、

と思うんです。」

 

どのような状況下にあっても

心が自由であること。

 

そんな人はきっと、

常に、心の中では、自分自身の真本音の

一本道に立っています。

 

いついかなる時にも、

心が自由な人こそが、

望む未来を創るのだと思います。

 

平井さんのメッセージを思い出します。

 

社長と平井さんの公開コーチングを初めて

社員さん達の前でさせていただいた時、

(→前回記事)

平井さんは社員さん達に向かって、

こう言われたのです。

 

「みんな、もっと心を自由にしようよ!

みんな、窮屈なんだよ。

以前の私も窮屈だった。

でも、今の私は心が自由だ。

そっちの方がよほど仕事は楽しい。

みんな、心が窮屈すぎて、私はつまらない。

私は心の自由な人達と仕事をしたい。

みんな、もっと心を自由にして、

仕事に取り組もうよ!」

 

これが効いた。

 

もちろん、すべての社員さんに効いたわけではありません。

でも、その時はまだわずか数名でしたが、

この平井さんの言葉が、ぐっと響いた人達がいました。

 

彼らはその後、平井さんの会社の幹部として

大活躍をされるようになります。

 

この日が、“平井チーム”の

スタートでした。

 

つづく

 

あなたへの尊敬は、自己保身のためでした

「実はね、たけうちさん。

私は社長がこんなに懐の大きい人だとは

思っていなかったんですよ。」

 

平井さんは笑いながらそう言われました。

 

「えっ、そうなんですか?

あんなに尊敬されていたのに。」

 

「いやいや、以前から私は確かに社長のことは

尊敬していましたが、

以前の私は社長に依存してましたから。

社長に歯向かうのが怖かったですし。

多分、社長にとって私は最高のイエスマンだったと

思いますよ。

極端な言い方かも知れませんが、

私は社長から認められる人間になるために、

社長を尊敬したのではないか、とさえ思うんです。

今となってはね。

要するに、それは本当の尊敬ではなくて、

尊敬のふりをしていたわけですね、自己保身のために。

でもね、今は本当に尊敬してるんです。」

 

「どんなところが懐が大きいと?」

 

「だって今の私は多分、社長にとっては最も

嫌な存在ではないかな、と思うんです。

平気で歯向かいますから。

社長、それは違うと思います、私はこう思います、

って社長の気持ちも考えずに言ってしまうんです。

でも、社長はどんな時もちゃんと最後まで私の話を

聴いてくれる。

その上で丁寧にキャッチボールをしてくれる。

私はね、自己保身を捨てて、自分の本心を大事にして、

自分なりの理念のもとに今は生きています。

そうなって初めて、社長って大きい人だったんだ、って

今は本当に思いますよ。

そんなことは社長に言ったことはありませんが。笑」

 

目の前で社長が苦笑いしていました。

 

「社長、いかがですか? 今の平井さんのお話に

ついては。」

 

「いやぁ、平井がね、こんなにも手強い相手だとは

思っていませんでしたよ。笑

私はたけうちさんにね、平井を自由にしてあげてください、

と依頼をしたんですが、本当に自由になったら、

こんなヤツだったんだ!とびっくりですよ。」

 

そう笑いながら、

しかし直後に社長は真面目なお顔になり、

 

「いや、実は今の平井の方がやりやすいですよ。

なぜなら、本当の話をしてくれるからです。

今、現場で何が起きているのか?

彼の話を聴けば、現場がわかります。

以前は、そんなことはありませんでした。」

 

私は社長に問いました。

 

「社長、社長が今、一番望んでいることは

何ですか?」

 

「私が望むこと?

そうですね。それは、平井が望むことを実現してほしい、

ということです。」

 

平井さんがちょっとびっくりした表情を

されました。

 

私はさらに問います。

 

「では、平井さんは何を望んでいますか?」

 

「私の望みは、社員全員の望みを実現すること、です。

それは綺麗な言葉に聴こえるかもしれませんが、

生半可なことではありません。

なぜなら、ウチの社員はまだ、自分の本当の望みを

全然わかっていないからです。

なぜわかっていないかと言いますと、

仕事の仕方が中途半端なんです。

まだ“プロ”ではないからです。

本当にお客様のために仕事をする、ということが

経験できていないからです。

我社には、社長の創られた美しい理念があります。

そして、お客様が喜んでくださる商品・サービスが

あります。

社員は皆、本当に人間的に素晴らしい人が

多いです。

一致団結もできます。

でも、それだけです。

理念もいい。商品もいい。社員もいい。

でも、ただそれだけなんです。

私は今の我社は、つまらない。

はっきり言って、つまらない。

みんなが、いい会社に入れて、いい仕事ができて

幸せだ、と思っている。

それ自体は素晴らしい。

でも、それだけで終わっている。

それがつまらない。

もっともっとみんな、凄いことができるはずです。

与えられた業務、与えられた役割を遂行するのは

当然ですが、

でも、自らその与えられたものを突破してほしい。

もっともっと人間として、

こうしたい!ああしたい!これがやりたくってしょうがない!

そんな声が上がるような組織に

私はしたいのです。」

 

平井さんのエネルギーがジンジン私に

伝わってきました。

 

「では、平井さん。

今のそのお気持ちを、改めて社員さん達にメッセージ

してください。」

 

平井さんは立ち上がりました。

そして社員さん達の方を向きました。

 

そうです。

以上のやりとりはすべて、全社員さん達の前で

行われた公開コーチングでのやり取りです。

(→前回記事)

 

それは何の事前打合せもありませんでした。

完全なアドリブです。

私はただ、社長にも平井さんにも

「そこに社員さん達がいるということは忘れてください。

いつもの通りのコーチングだと思ってください」

ということのみをお伝えしてありました。

 

で、本当にいつものコーチングの風景が

そこに展開されました。

 

私はそのいつもの風景こそを、社員さん達に

お見せしたかったのです。

 

この時、平井さんは社員さん達に、

実にシンプルなメッセージをお伝えになりました。

それは、平井さんの真本音メッセージでした。

 

つづく

 

実は、タイミングがすべてかも

物事には最善のペースがあります。

 

ゆっくり進む方が良い時と、

一気に加速した方が良い時と。

 

ゆっくり進む方が良い時は、

「待つ」ことが必要となります。

どれだけ気が焦っても、

そこで待てるかどうか。

 

逆に、一気に加速した方が良い時は

多少強引でも、多少人の気持ちを無視してでも

スパートすることが必要です。

 

例えば、仕事の場合、必ず期限があります。

期限が一週間後に迫っていた場合でも、

あえてゆっくりと待った方が良いこともあります。

(もちろん期限は守ります。)

 

期限に余裕があったとしても、

今はスパートすべき、ということもあります。

 

「今、どのくらいのペースで

物事を進めれば良いか?」

 

実は、真本音度合いが高まると、

このペース配分に対する直観力が

極めて高くなります。

 

真本音というのは、決して理想論のことでは

ありません。

 

理想的な「想い」は真本音で、

現実は現実として、それとは別に進みましょう、

ということは一切ありません。

 

自分自身の真本音を大切にするということは

実に「現実的」な判断を、

今この瞬間に最善のスピードで下し続けることが

可能になります。

 

なぜなら、私達の真本音は「現実」を

大切にしているからです。

 

「現実に生きる」ことを大切にしているからです。

 

そして、「現実」とは「今」です。

 

自分の揺るがない「想い」と

今ここにある「現実」を

完全に繋ごうとするのが、

私達の真本音の最も大切にすることの一つです。

 

ですので、

真本音度合いを高めることによって私達は

「今この瞬間における最善の決断」を

し続けることができます。

 

それが、「物事の最善のペース」を

自然に創るのです。

 

この辺りの感性が、平井さんは素晴らしかった。

 

「今、動くべき」と感じた時の彼の瞬発力は

抜群でした。

 

少し前に、「今でしょ」という言葉が流行りましたが、

平井さんこそ、「今でしょ」の人です。

 

ただし念のために申しますが、

「今ではないな」と直観した時には、

平井さんは逆に、テコでも動きません。

そのメリハリが、実に真本音的で清々しいのです。

 

社長と平井さんの真本音を

社員の皆さんにぶつけよう。

(→前回記事)

 

そう決めた平井さんは、すぐに全社員さんを

集めました。

次の日に。

 

通常はあり得ない話です。

 

平井さんの会社の社員さんは、当時約50名。

そのほとんどの方が、現場に出ています。

今日の明日で、全員が集まるということは

普通では無理です。

しかも社長も忙しい人なのです。

 

しかしここが真本音の直観の面白いところ。

 

「今でしょ」の平井さんが、

「明日やる」と決めて動いたら、

すぐに「明日の夕方であれば、全員参加が可能」

ということがわかりました。

 

後から考えると、

本当に、あのタイミングしかなかった。

 

あれを外していたら、

恐らく、その後の展開は大きく変わっていたでしょう。

 

平井さんの組織活性化が成功した

一番のキーポイントは何ですか?と

今問われたとしたら、私は

「あの時、あのタイミングで、社員さん全員に

社長と平井さんの真本音の想いをぶつけることが

できたからです」

と答えるでしょう。

 

本当にあの日しかなかった。

一日変われば、もうこの流れは起きなかったかも

しれない、とさえ私は思います。

 

しかしこういったことは

会社経営においては実は、

日常茶飯事だと思います。

 

こういった「今でしょ」のチャンスを

ひょっとすると多く逃しながら経営をしている

可能性が、どこの企業にもあります。

 

真本音度合いを高めるということは、

そういったチャンスに、実に敏感になれる、

ということでもあるのです。

 

次の日の夕方。

平井さんの会社の一番広い会議室に

全社員さん達が集まりました。

 

社員さん達の前に、

社長と平井さんと私の3人が並んで

椅子に座りました。

 

皆さんの前で、

私が社長と平井さんのコーチングを

するのです。

 

そうです。

お二人の真本音のぶつける、とは

お二人が社員さんに向かってメッセージをする

のではありません。

いつも行なってきたお二人へのコーチングを

社員さんの前でそのまま行なうのです。

 

つまりは、

公開型のコーチングです。

 

つづく

私達の心には二つの本音がある

このブログでよく書かせていただいている言葉

『真本音』

について、改めてご説明しましょう。

 

真本音とは、私の造語なのですが、私が頭をひねくり回して

作った言葉ではありません。

 

お客様と向き合う中で、自然と生まれた言葉です。

 

その真本音と同じように、ある研修中にふと生まれた言葉として、

『反応本音』

というのもあります。

この二つを合わせてご説明します。

 

まず単純に言って、

私達の心は、二つに分けることができます。それが、

・真本音

・反応本音

です。

 

真本音とは、本当の本当の本当の本音です。

自分の中で、何があっても揺るがないもの。

どのような環境にいても、どのような状況に見舞われても

揺るがないもの。

その多くは、「願い」という形で心の中心に存在しています。

 

それに対して、反応本音とは、

外部からの様々な働きかけによって発生する

私達の心です。

「本音」という言葉がついていますので、あくまでも

建前ではありません。

その時その時の、本当の気持ち。

でも、それは外部からの影響によって、

その反応として創られています。

そのため、外部環境や状況が変わることで変化する

可能性は高いです。

 

一般的に反応本音は心の表面に現れやすいので、

それが「自分の本音である」と認識されやすいです。

 

そして、反応本音の出方は、その人その人によって

パターン化されやすいので、いつも同じパターンを

繰り返していますと、そのパターンそのものを

「私である」

と思い込みます。

 

つまり、多くの人達は、

「反応本音のパターン」を、「自分自身である」

と思い込みます。

で、そのパターンを繰り返すことで人生を進めます。

 

しかし私達の心の中心には真本音があります。

しかしそれは、なかなか表には出てきません。

 

自分自身の真本音を見つけ、

真本音に素直に行動することで、

その人は、これまで自分が創り上げた反応本音のパターンを

超えて、

本来の自分として生きることができるようになります。

 

反応本音は、外部環境によって創り上げられてますので、

外部環境によって揺らされます。

しかし、真本音にはそれがありません。

 

その結果、真本音に素直に生きる人は、

自分の本当に望んでいるものを実現します。

 

反応本音のみに生きる人は残念ながら、

外部環境に揺らされながら生き続けることになります。

 

どちらが幸せな人生か?

は明白ですね。

 

ちなみに、

真本音と頑固、

真本音とわがまま、

真本音と独りよがり、

は本質的に異なります。

 

真本音で生きることは、独りよがりに生きることに

なりませんか?

とよく問われますが、全くの逆です。

 

私達は真本音で生きれば生きるほど、

周りとの調和性も高まるのです。

 

なぜそうなのか?については、

このブログで徐々に明らかにしていきますね。

 

さて。

真本音にはもう一つの特徴があります。

 

それは、

ある人が真本音の想いを述べたり、

真本音の生き方を見せることで、

他の人の真本音を喚起させることができる、

ということです。

 

つまりは、

真本音度合いの高い人のそばにいる人は、

真本音度合いが高まるのです。

 

ここで平井さんのお話に戻りますが、

平井さんの狙いは、そこでした。

 

平井さんは、社長の真本音を

社員の皆さんに示したいと思ったのです。

(→前回記事)

そのためにまずすぐにできる方法として、

社長の真本音の想いを

社員さんに向かって語ってもらおうと思われたのですね。

 

しかし私が平井さんにご提案したのは、

それだけでは勿体ない、ということでした。

 

一人の真本音をぶつけるよりも、

二人の真本音の相乗効果を起こしませんか?

というのが、私からのご提案でした。

 

つまりは、

社長と平井さんの真本音コミュニケーションを

社員さん達の前で見せる、

ということを私はご提案したのです。

 

なぜなら、

真本音と真本音の相乗効果は凄いのです。

 

本当に、凄い!の一語に尽きるのです。

 

一人の真本音の想いと

もう一人の真本音の想いが

統合し、融合されることで、

それは2倍どころか、20倍、200倍、いや

時には2000倍といっても過言ではないくらいの

エネルギーを発揮します。

 

それが、社長と平井さんであれば可能であると

私は思ったのです。

 

そしてそれは大当たりしました。

 

つづく

 

心の傷は治さなくていい

多くの人達と向き合い続けて

わかったことですが、

すべての人に「心の傷」はあります。

私自身も含めて。

 

そしてある時ある瞬間、何かのきっかけで

心の傷が疼く時があります。

もしそれが、深いところにある傷ならば、

その疼きによって、その人は

本来の自分とは別の行動を取ってしまいます。

 

それは、体の傷が痛むことで

まっすぐに歩けなくなる、変なポーズで歩くようになる

のと同じことです。

 

でもその変なポーズで歩くのが日常化してしまうと、

人はその人のことを

「そのようなポーズで歩く人なんだ」と

レッテルを貼ります。

本人はそのレッテルを「自分自身である」と

思い込みます。

つまりは、その「変なポーズ」こそが自分であると

思い込みながら生きるようになります。

 

本当は、普通に歩くのがその人の本来です。

 

そして、普通に歩いた時にこそ、

その人本来の個性が

醸し出されるようになります。

 

私はその個性のことを

『その人本来の味』

と、このブログでは表現しています。

 

本来の味を醸し出すことができている人は

魅力的です。

本来の味を醸し出すことができれば

誰もが魅力的になります。

 

その魅力を仕事に活かすことができれば、

その人の仕事は明らかに「次元」が変わります。

 

私達の中から、心の傷が消えることは

なかなかありません。

いえ、心の傷を消そうとすること自体が

必要のないことです。

 

心の傷はそのままで。

しかし、私達は普通に健康的にまっすぐに

歩くことができます。

 

そのためのサポートを、

私は「コーチング」と呼んでいます。

 

以上のようなお話を平井さんにさせていただいた時、

平井さんの目の色が変わりました。

 

「そうか!たけうちさん。

心の傷は治そうとしなくていいんですね。

私は社員達と向き合うことで、皆全員に心の傷があることを

知りました。

私はその心の傷を治すにはどうしたらよいのだろうか?

と、そればかりを考えていました。

それをしなくてもいいんですね。」

 

「はい。そこに意識を向けると、

心の傷治しの旅が始まってしまいます。

その旅は、永遠に続きます。

心の傷は無数にあるからです。

一つの傷を治しても、必ずその奥には、そのもととなる

傷が存在しています。

だからその旅は永遠に続きます。

それをしていても、その人の仕事の質は変わりません。

人生の質も一向に変わりません。」

 

「では、私にできることは何でしょうか?」

 

「それは平井さんご自身が一番身をもって

体験されているではありませんか。」

 

「真本音で進むことですか?」

 

「その通りです。

その人が、その人自身の真本音に素直に

次の一歩を進むこと。

そのサポートをし続けるだけのことです。」

 

「確かに、真本音度合いが高まると、

それだけで心は満ちますね。

だからそこに傷があろうとなかろうと、

関係なくなります。

むしろ、傷があることがその人の魅力につながる

かもしれません。」

 

「平井さんは、平井さんの傷があるからこそ

平井さんなりの魅力が出てますもんね。」

 

「そうですか。そう言われると嬉しいですねぇ。

そうか、傷がその人の財産になってくるわけだ。」

 

では、みんなの真本音度合いを高めるために

我社では何をすればよいのだろうか?

という議論に、その後入っていきました。

 

そこで平井さんが発想されたこと。

それは、

 

「私は社長の真本音を、

社員全員にぶつけてみたい」

 

ということでした。

それが社員の皆さんの真本音を

大きく刺激することになるだろう、と。

(→前回記事)

 

私はすかさず、平井さんにご提案しました。

 

「社長だけでなく、平井さんご自身の真本音も

皆さんにぶつけてみたらいかがですか?」

 

「えっ、そんなことしてしまって大丈夫ですかね?」

 

「何言ってるんですか。笑

今の平井さんだったら大丈夫どころか、

皆さんにとって、すごくいい刺激になると思いますよ。」

 

つづく

 

簡単簡単、ツボを押すだけ

組織には「ツボ」があります。

 

人間の体と同じく、

このツボを押せば健康になれる、

このツボを押せば活性化する、

という要所があります。

 

ただ、人間の体と違うのは、

その要所は、移動するということです。

 

具体的に言えば、

「今は誰にどのような刺激を入れることで、

全体の活性化につながるか?」

という、ツボとなる人が必ずいるということです。

 

しかもそのツボは、

人から人へと受け継がれていくもの。

 

そういった前提に立てば、

「今、ツボとなる人に対して、誰をどうつなげばよいか?」

が、組織活性化の最重要ポイントの一つになります。

 

前回の記事では「調和性」という考え方を

ご紹介しました。

(→前回記事)

 

その視点から言えば、

・今、ツボとなる人は誰か?

・その人と調和性の高い人は誰か?

・それらの人達をどのように結びつけるか?

というマネジメントをします。

 

それが「人と人をつなぐマネジメント」の基本です。

 

平井さんは、それをし続けました。

 

上記のように書きますと、

少し難しいことのように感じるかもしれませんが、

それは日常的に活用できることなんです。

 

例えば平井さんがいつも気にしていたのは、

今は誰と誰がランチを一緒に食べると良さそうか?

ということです。

 

ツボになる人がAさんだとして、

今はAさんと調和性の高い人はBさんだから、

AさんとBさんが一緒にランチすると良さそうだな。

そこでは、このようなテーマのお話をすると良さそうだな。

・・・というようなことを考え、

平井さんはAさんとBさんを一緒にランチに誘います。

 

誘わなくても、さりげなくそのような

シチュエーションを創ることもあります。

 

そしてさりげなく、そのようなテーマを

話題として出して、堅苦しくなく、

ランチを楽しみます。

 

例えば、ミーティングや会議も同様です。

 

今は誰と誰がどのようなテーマで

ミーティングを行なえばよいか?

そこでは、どのような席順で座ればよいか?

そして、どのような順番で

意見を求めればよいか?

などを発想し、そういった場を創ります。

 

ただし、発想した通りに絶対に物事を

進めなければならないということでは

ありません。

 

できるだけ綿密に発想しますが、

あとはその場のムードや流れに任せます。

 

「その方が面白い展開になりますから」

と平井さん。

 

こういったことを日常的に

繰り返していくだけでも、

組織の調和度合いや活性度合いは

根本的に変化します。

 

こういったことは平井さんは

最初からわかっていたわけではありません。

 

いつもじっと社員さん達を観察し、

(義務としての観察ではありません。

興味を持ち楽しみながら観察し続けていました。)

いつも順番に社員さん達と面談を続ける中で、

思いつき、自然にやり始めたことです。

 

しかしその効果があまりにも大きく、

いえ、大きいどころか

そういった些細なことから想定外の

面白い展開がたくさん生まれるのを目の当たりにし、

平井さんは

「何気ない日常における、一つ一つの“つなぎ”こそが、

組織活性化の要だ」

と気づかれたのです。

 

しかし平井流リーダーシップは

これだけでは終わりません。

 

普段、このような“つなぎ”をしておいた上で、

ある時、ある瞬間に、

ある大きな刺激を入れるのです。

 

つづく

 

想定外のマネジメント

「肚が据わる」という言葉があります。

 

肚が据わっている人は

精神的に非常に強い人である、という印象がありますが、

実は、そうではありません。

 

本当に肚が据わっている人は、

自分の弱さをすべて知っている人です。

自分の弱さをあるがままに見つめることができる人です。

 

自分の弱さにフタをして、イキがって勢いだけで進むのは、

「肚が据わる」とは真逆の状態です。

それは「ごまかし」です。

 

人は弱い。

 

自分は弱い。

 

そういった「事実」をあるがままに受け止められる人こそが

「肚が据わった」判断ができます。

 

「現実」とは、

想定外のことがいくつも起きます。

 

「想定外のことが起きること」

それが現実だと定義しても良いくらいです。

 

イキがって、「それは想定内のことだから」と言っているうちは

本質的には、現実逃避と変わりません。

 

想定外のことが起きた。

うわーっ、どうしよう?

混乱だ。混沌だ。自分を見失う!

というすべての現象をあるがままに受け取ることで、

私達は「肚が据わった」状態に入れます。

 

それは「覚悟を持った状態」であり、

人としての「自然体」です。

 

「自然体」に戻れば、

人は「最善の選択」ができます。

 

心配をしなくても、

「想定外のことがわざと起こるように出来上がっている」

のが「現実」なので、

それらをすべて楽しんで進みましょう。

 

さて、平井さんの話に戻ります。

(→前回記事)

 

私が平井さんに対して「すごいなぁ」と思えることの一つは、

「想定外のことを楽しむ」力です。

 

平井さんは言われます。

 

「私は、人が好きです。

なぜなら、人は、想定外だからです。

人は、予測できないからです。

あぁこの人のことはよくわかった、と思った瞬間に必ず、

その人は想定外のことをします。笑

それが、人の面白さではないでしょうか。

だから私は、人をコントロールすることをあきらめました。

想定外のことをするのが人である、というように

自分の中で定義づけることで、初めて

本当のマネジメントができるようになった気がします。」

 

そしてさらに続けられます。

 

「私にできることは、

人と人を結ぶことです。

今は、誰と誰を結べば、想定外に面白いことが起こるだろうか?

という観点から、マネジメントをしています。」

 

それが平井さん流のリーダーシップでもあるんですね。

 

しかし私こそ、平井さんに対して「想定外の面白さ」を

感じます。

あれだけ、自分を失くしていた人が、

今は自分を取り戻すどころか、人の可能性を

想定外に引き出しています。

 

「想定外の人生を楽しむ」平井さんの姿は

私の想定外でした。

 

私は平井さんから随分と

勇気をいただきました。

 

人生は、想定外だからこそ素晴らしい。

 

人は、想定外だからこそ素晴らしい。

 

想定外である人生を、

想定外である人を、

どのように活かすか?

それこそが、本来のマネジメントである、と。

 

マネジメントとは「管理」であると

一般的には言われていますが、

私は思います。

マネジメントとは、「自由」であると。

いかに人本来の「自由」を引き出すか?

それがマネジメントであると。

そしてそれが中途半端ではなく、

本当に成されることで、「調和」が起こると。

本当の自由は、調和を起こす。

その「調和」を起こすことこそが

マネジメントであると。

 

今の私の組織活性化サポートの核になる部分を

私は平井さんから随分と学ばせていただいたのです。

 

つづく

 

人の主体性はこれで決まる

「トップが変われば企業も変わる」

とはよく言われますが、

私も本当にその通りだと思います。

 

平井さんがご自分を取り戻してから約2年後、

社長は、

「平井にはもう何もアドバイスすることがなくなってしまった」

が口癖となりました。

 

もちろん、いろいろな紆余曲折はありました。

ぶり返しのお話は以前にも少し書きましたが、

自分を取り戻したはずの平井さんも

何度か以前の彼の状態に戻りました。

その都度、私は彼のコーチングサポートをしましたが、

それもだんだんと必要なくなりました。

 

実質的に平井さんは会社のトップとなり

平井流リーダーシップが確立されていきます。

 

平井流リーダーシップとは、

「社員を主役にするリーダーシップ」でした。

(→前回記事)

 

「社員を主役にする」とは、

言葉では簡単に言えますが、

これもなかなかに大変な道のりでした。

 

社員を主役にしたくても、その社員が会社に対して

依存的であれば、主役にされること自体を本人が

拒絶します。

たとえ拒絶されなかったとしても、

その社員が自ら主体的に覚悟を持って動かなければ、

物事は何も進みません。

 

実はこのジレンマに陥っている経営者は

数え切れないほどいらっしゃいます。

 

平井さんも

「社員を主役にすることはやはり無理だ」と

何度もあきらめかけました。

 

私自身も、平井さんのサポートをさせていただく中で

本当にたくさんのことを学ばせていただきました。

 

特にその中でも大きかったのは、

次のことでした。

 

「人が主体性を高めていくには、

その人一人を見るよりも、

その人がどの人と関わるか?を見る方が、

何倍も効果的である」

 

ということです。

 

例えば、Aさんという人がいたとします。

Aさんが、Bさんと関わりながら仕事をするのか?

それともCさんと関わりながら仕事をするのか?

によって、たとえ仕事の内容が同じであったとしても、

Aさんの主体性度合いや成長度合いは

大きく変わる、ということです。

 

ある意味それは「相性が良いかどうか?」ということに

なりますが、

しかし、そう短絡的なものでもありません。

例えば、

「あえて相性の悪い人同士をコンビにすることで

お互いの成長度を高める」

ということもあるわけです。

 

ですので、私はそれを

「調和性」

と呼んでいます。

 

調和性とは、

人と人が関わり合うことで

どれだけお互いの

・成長度合い

・相乗効果

・成果

に結びつくか?の度合いです。

 

調和性が高い人同士を選び、

その人達の距離を縮め、

調和性の低い人達同士はあえて距離を広げる、

という組織体制にすることで、

同じメンバーでも組織としての生産性は

何倍も変わってくるのです。

 

この発見は本当に大きかった。

 

しかも、調和性とは常に一定ではありません。

人が成長することで、徐々に変化します。

 

そのために、常に社員さんを観察し、

「今は、誰と誰をつなげることがベストか?」

を見出すことが、

平井さんのリーダーシップの要となりました。

 

平井さんは

「人を引っ張るリーダー」

から

「人と人をつなぐリーダー」

へと変化していったのです。

 

そして実質的トップであった彼のその変化は

組織全体に大きな変化をもたらしました。

 

つづく