人には2タイプあります。

 

自分を主にすることで

力を発揮するタイプ。

 

そして、

人を主にすることで

力を発揮するタイプです。

 

自分を主にすることで

輝くタイプと、

人を主にすることで

輝くタイプ、

という言い方もできます。

 

コーチに向いている人というのは

後者です。

 

実は、木村さんは完全に前者でした。

ですので、

彼が「プロのコーチになりたい」と言われた時、

あぁこれは反応本音レベルの発想だなと

わかりました。

 

反対に、弓江さんは

後者のタイプです。

 

しかし恐らく、彼女はこれまでずっと

自分を主にして生きてきたはずです。

そのため、

自分の本来持っている力を発揮せずに

ここまで来てしまいました。

 

本来持っている力、それが

『尊重力』

です。

(→前回記事)

 

尊重力とは、

すべての人をあるがままに受け止め、

その人のすべてを尊重しながら育む力です。

 

尊重力のある人と関わると、

関わった人達は、本来の自分自身を

伸び伸びと出すことができ、かつ

本来の自分の力を発揮し、伸ばすことができます。

 

一言で言えば、

尊重力のある人と毎日関わると、

そこにいる人達は、日々、進化します。

 

そういった力を天性で持っている人がいます。

そういった人は、私は

コーチになることを本当にお勧めします。

プロのコーチになるという狭い意味ではなく、

コーチ的な立ち位置でコーチ的な関わりを持つことを

お勧めする、という意味です。

 

そういった人達にこそ私は

コーチングスキルをお伝えしたいのです。

 

弓江さんはまさに

その典型のような人でした。

 

弓江さんは間違いなく、

木村さんの本来の魅力を伸ばすサポート役として

活躍してくれることでしょう。

 

しかし逆に言えば、木村さんは

そんな宝物のような存在を、自分から

遠ざけようとしていたわけです。

 

私は、さらに弓江さんに

木村さんについての印象をお伺いしました。

 

「弓江さんからご覧になって、

木村さんの気になるところは他にありますか?」

 

「・・・木村は、どうでもいいところにこだわるんです。

そんなこと、どっちでもいいじゃん、ということに。」

 

「例えば、どんなことがありましたか?」

 

「・・・例えば、お客様のクレームの時でもそうでした。

クレームが入って、すぐに対応すればいいのに、

誰がクレーム処理をすべきか、を随分と悩んでました。

もちろん、それは大事なこともありますが、

でも、そのクレームには迅速さこそが最重要でした。

私がすぐに行けるって言ってるのに、

彼はしばらく思案していたんです。

何が大事か?を見失って、必要のないところで思案する、

というところが見ていてとてもイライラします。」

 

「よくあるのですか?」

 

「はい、よくあります。

もちろん、そうでない時もありますが。

そうでない時は、すがすがしいくらいに

パンパンパン、っと決断するんですが。

でも思案に入ってしまう時は、・・・まるで別人みたいです。」

 

恐らく、木村さんが真本音の決断をしている時は

弓江さんは「すがすがしい」と感じ、

そうでない時は、「イライラする」となるのでしょう。

ある意味、

とても本質をついた感覚です。

 

「木村さんが常に、すがすがしい木村さんで

いられるように彼をサポートしたいのですが、

弓江さん、手伝っていただけますか?」

 

「私にできることがありますか?」

 

「大いにあります。

弓江さんがコーチとして接するんですよ。」

 

「えぇ? それは無理だと思いますよ。」

 

「無理ではないですよ。

むしろ、絶対楽しめますよ。」

 

「なんか、そんな風に断定されると困りますが・・・。」

 

「具体的な接し方は、私がすべてお教えしますので、

やってみませんか?

楽しいですよ。」

 

「じゃあ、そんなに言われるなら

やってみましょうか。

・・・わかりました。

やるなら徹底的にやります。」

 

さすが弓江さんです。

こういったところに真本音度合いの高さが

現れます。

 

真本音度合いは高まれば高まるほど、

人は潔くなるのです。

 

つづく