私達人間の真本音は、
自分自身に「的確な枠」をはめることを
大切にしています。
「無限の可能性」を発揮できないように、
わざと仕向けます。
自分に制限をかけます。
ストッパーをかけます。
その制限とストッパーに縛られる中で、
私達は、もがきます。
しかしその「もがき」は
非常に重要な「もがき」であり「試行錯誤」となります。
そしてその「もがき」の結果、
自ら「枠」を壊す瞬間がやってきます。
私はそれを
『脱皮』
と呼んでいます。
人は『脱皮』をすると、
ステージが一つ上がります。
次元が一つ上がります。
通常の成長(進化)とはレベルの違う
変化が起きます。
そして、まるで生まれ変わったかのように
新たな自分となります。
しかしその新たな自分とは、
これまでとは別人になるのではなく、
本来の自分に「一気に近づく」ということです。
人の成長(進化)とは
比例直線のように上がっていくわけではありません。
「階段状」に上がっていきます。
緩やかな進化の段階と、
一気にステップアップする段階と。
そのステップアップこそが、『脱皮』の瞬間です。
無限のステップアップをするために、
私達の真本音は、
今のステップに必要な「枠」を
自分自身に与えるのです。
ところが・・・。
この「枠」のはめ方を間違えると、
『脱皮』の瞬間は永遠にやってきません。
「枠」は
大き過ぎても、小さ過ぎても
ダメなのです。
自分にとって的確な枠をはめることこそが
重要であり、
それができているかどうか?を客観的に
観察するのがコーチの役割の一つです。
木村さんは、これが下手でした。
彼はもともと、自信家でした。
しかしその自信は、不安の裏返しでもありました。
俺が一番だ。
ということを証明するために、
常に自信のある自分を「演出」する必要が
ありました。
俺が一番、
・・・でなきゃ立っていられなかった、
のです。
そういった自信は、非常に不安定で、
何か一つのきっかけがあるとすぐに木村さんは
自信喪失状態に入りました。
すると今度は、
引きこもりに近い精神状態となり、
非常にウジウジとしながら
必要な行動を何もしなくなってしまいます。
物事が上手く行き出すと、自信家になり、
物事が頓挫すると、引きこもる。
これを繰り返していました。
このように、
「自信家」と「引きこもり」は表裏の関係にあり、
この二つを行ったり来たりするパターンの人は
かなり多いです。
そしてこういったパターンを持った人は一様に
自分自身への「枠のはめ方」が
下手です。
つまりは、
自信家の時は、枠を大きくし過ぎて、
引きこもりの時は、枠を小さくし過ぎるのです。
木村さんのその「下手さ」によって、
彼は、脱皮のチャンスを何度も逃しました。
しかしそれでも、彼は脱皮し続ける彼に
なっていくのですが。
最初の頃は大変でした。
彼はある日突然、私に向かって
「私はプロのコーチになります」
と宣言されたのです。
つづく