木村さんとお話しした後、
私は少し弓江さんともお話をしたく
なりました。
あえて1対1で
お話ししたいと思いました。
弓江さんはすぐに時間を
取ってくださいました。
さっそく私は本題に入りました。
「弓江さん、突然の展開でしたね。
プロジェクトメンバーが半分に縮小されることになり、
今はどんなことを感じていらっしゃいますか?」
「木村とも話していたのですが、
実はそれほど驚いたわけではありません。
何となくこうなることは
わかっていたような気がします。」
「特に気負いもなさそうですね。」
「はい。
むしろ、スッキリした気分です。
今の縮小されたメンバーだけの方が
正直言いまして、やりやすいです。」
「木村さんは、これで生産性が
上がるのではないか、と言われてました。」
「私もそう思います。
もちろん、残されたメンバーは未熟です。
能力も経験も高めなればいけませんが、
それはさほど難しいことのように
思えません。」
やはり弓江さんは
今回のこの展開をニュートラルに
受け止めているようです。
しかも私は彼女から
一種の覚悟のようなものを感じました。
「何となくですが、
今の弓江さんからは覚悟のようなものを
感じるのですが、自覚ありますか?」
「覚悟ですか・・・。
それほど大仰なことではないと思いますが、
私は、たけうちさんがおっしゃったように
チームにおけるコーチとしての在り方を
貫こうと思っています。」
「具体的にはどういったことに
注力されるのですか?」
「まずは、木村リーダーのサポートです。
彼が、これまで以上に本来の彼を出せるように、
私は彼の隣で寄り添います。
そして、メンバー一人一人の育成です。
私自身が前線に立つというよりも、
前線に立つ彼らを育成するということが
私の役割だと思っています。
彼らの成長が、すべてを決めますね。
そう思っています。」
一言一言が
とても腑に落ちる感覚がありました。
すべて真本音で語っているようです。
「私は木村さんから、
もう一歩深くプロジェクトに関わってほしい
という依頼をいただきました。
チームメンバーにも直接関わってほしい、と。
弓江さんはどう思いますか?」
「ぜひお願いします。
私はコーチとしての在り方をしたいと
言いましたが、
そんな私自身がまだまだ未熟です。
たけうちさんにお願いしたいのは、
私を指導してほしいということです。
私をコーチングするというよりも、
私のメンバーへの対し方を現場でご覧いただき、
私を厳しく指導してほしいのです。」
なるほど。
この一言を聴くために、
私は弓江さんとお会いしたのだなと
思いました。
「弓江さん、直観でお答えください。
今のチームの力を数字で表すと
いくつになると思いますか?」
「・・・。 7、です。」
「では、チームの本来の力を
数値で表すと?」
「・・・。 あぁ、大きいですね。
2,470という数字が浮かびます。」
「面白い数字ですね。
しかし、7 と 2,470 ですか。
まだ今のチームは、まったく本来の力を
発揮していないのですね。」
「そうですね。
確かに、彼らの力はまだほとんど
眠ったままです。
脱皮しなきゃ、ですね。」
「その脱皮、弓江さんが起こしますか?」
「えっ? 私にできますか?」
「はい。
当初は私が直接皆さんの脱皮のサポートをしようと
思っていましたが、
弓江さんが彼らの脱皮をサポートする、
ということを大切にしていこうかな。」
「もしそれが可能であれば、
ぜひお願いします!」
大事な方向性が
見つかりました。
つづく