砂粒の一つ

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海岸に
立って、

膝まで
海に浸かりながら、

大海原を
眺めながら、

決めたことが
あるんだ。

永遠の中の
今。

今ここに
私がいることは

もし私が
死んでしまえば、

誰も知らない
ことになる。

私の記憶を
持つ人は
いるかもしれないが、

その人達も
人生を終えれば、
いつかは
私の記憶を持つ
人は誰も
いなくなる。

すると、
私がこの世に
存在したことを
知る人は
いつかは
いなくなる。

じゃあ、
長い目で見たときに
私という人間は
存在したことに
なるのか?

存在したか
どうかも
わからない存在。

小さな
存在。

そう考えた
時に、
きっと以前の私なら
そこに
虚しさを感じた
だろう。

もしくは、
私がいなくなっても
何か
残るものを
私は残したい、

決めただろう。

が、
今は違う。

存在したか
どうかも
わからない
小さな存在。

もし私が
その一つと
なれるなら、

私はそこに
それ自体に
無常の悦びを
感じる。

理由は
わからない。

理屈では
なく。

この海岸の
砂粒の一つの
ような。

いてもいなくても
一見、同じように
見える存在。

私はそんな
砂粒で
ありたい。

砂粒の一つとして
自分にできる
最大のことを
したい。

何かが残れば
それでいいし、
残らなくても
それでいい。

ただ、
ここに存在している
ということを、
私は知っている。

私はそんな
私という存在を
ただ、見届けたい。

やること
やろう。

大海原に
向かって、
ただ
そう決めたんだ。

つづく

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