木村さんは、新規事業プロジェクトチームの
真本音を「理念」として言語化することが
できました。
それが、
『全員がチームの代表として
お客様と向き合う』
です。
言語化することで、
自分自身がこの理念に外れる行動をとっていたことを
木村さんは自覚しました。
彼は、とても清々しい表情で
「自分は間違っていた」
と言いました。
自分が正しいとか間違っているとか、そんなことよりも
真本音の理念を見つけ出した喜びの方が
大きかったのでしょう。
もちろん、弓江さんも喜びました。
木村さんが「間違っていた」と言った時、
弓江さんは、「そうでしょう!」と相づち。
そして二人で笑い合いました。
いい感じです。
すかさず私は次の問いを投げました。
「弓江さん、
弓江さんは木村さんをサポートするために
何をすればよいですか?」
「えっ?」
「今ならわかるのではありませんか?」
弓江さんは少し目を瞑って考えました。
そしてこう言ったのです。
「木村リーダー、
私は木村リーダーに何をすれば
サポートになりますか?」
この一言。
これは本当に木村さんには嬉しかった
ようです。
「えっ、そう言われてもなぁ・・・。」
と言いながら、とても嬉しそうな表情。
「木村さん、
ここはしっかり考えて、弓江さんに
指示を出してください。
真本音の指示を。」
しばらく木村さんは考え、
言いました。
「私と一緒にミーティングの場を
創ってください。
弓江さんにミーティングの司会を
お願いします。」
これには弓江さんが驚きました。
「えっ? 私が司会ですか?
いや、私は司会の経験はありませんし、
向いていないと思います。」
「いや、私は弓江さんに司会をしてもらいたい。
それが、とてもいい気がする。
たけうちさん、どうです?」
私は大賛成でした。
「実はね、木村さん。
弓江さんにはコーチの才能があるんですよ。」
「そうですか!
実は今、私も何となくそんな気がして。
私は以前、自分がプロのコーチになるなんてことを
言っていましたが、私なんかよりも
弓江の方がいいかな、って思ったんです。」
さすが木村さんです。
「弓江さん、私が弓江さんに司会のやり方を
教えますので、やってみませんか?
司会というよりも、チームコーチングのコーチ役
ですよ。」
最初、弓江さんは「え〜っ?」と言いながら
拒んでいましたが、
木村さんが、「これはリーダーとしての指示です」
の一言で、あきらめました。笑
「そのかわり、しっかりと事前準備をしましょう。
ミーティングの目的と、
そこでどのような問いを投げるか?を
しっかり準備しましょう。
その上で、あとはアドリブでやればいいんです。
コツはすべて私が教えます。」
ということで、弓江さんは司会をやることに
なりました。
今思えば、これが本当に
運命の分かれ道でした。
司会をすることで弓江さんは、
本来彼女が持っていた天性の力を
ぐんぐん発揮することになります。
彼女こそ、
プロのコーチと言ってもよいくらいの
力を持っていたのです。
つづく
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