霧雨の中に
立っている。
周りは
暗い霧に閉ざされ、
私以外は
何も見えない。
存在のない
世界に
一人。
雨粒にならない
くらいの雨粒は、
私の肌に
こびりつく。
濡れた服も
こびりつく。
寒い。
移動して
どこか暖かな部屋に
行きたい。
しかしここが
どこか
わからないのだ。
いつからここに
立っているのか、
何のためにここに
立っているのか、
思い出せない
のだ。
人の気配は
なく、
私は孤独だ。
しかも
不快しかない。
いっそのこと
すべて
絶望してしまえば
開き直れるかも
しれないが、
そこまででも
ない。
この
中途半端さ。
中途半端な
苦痛。
中途半端な
孤独。
だから呆然と
佇むしかない。
辺りはさっきより
薄暗くなって
きている。
きっとこのまま
夜を迎えるのだろう。
私はいつまで
ここに
いるのだろうか?
何のために
ここに
いるのだろうか?
こうやって
何もわからなく
なる時、
そんな時に
限って、
私は自分の
命の鼓動を
感じる。
ドク、ドク、・・・と
一定のリズムで
鼓動は続く。
こうやって私は
生きているし、
ここには
確かに
命がある。
私は日々、
この命を感じながら
存在し続けている
存在だ。
すべてが
わからなくなった
時には、
その事実だけが
たった一つの
真理のように
私に
突きつけられる。
私は
生きている。
だから
苦痛を感じる。
だから
孤独を感じる。
生きるとは
感じること。
何もわからなく
なっても
感じ続けること。
これから
夜が来るのだろう。
だから
ますます
わからなくなるのだろう。
でもきっと
私は夜通しここに
立ち続けるのだろう。
私はただ
待ち続けるの
だろう。
世が開けて、
次に何かが
見えるのを。
命を感じながら
待ち続けるの
だろう。
つづく