道が影って
くると、
一人であることが
身に沁みた。
結局、
誰もいないじゃ
ないか、と。
この道を行く
のは、
私一人なんだな、
と。
そうなると、
跪くしかない。
倒れ込む
寸前。
立つ気力は
ない。
じっと地面を
見つめながら、
そのまま
待つんだ。
次の気力が
湧き上がるのを。
意識は
心臓の音にのみ
向ける。
余分なことは
もう
考えないようにする。
自分が生きている
証。
その一呼吸、
一呼吸にのみ。
私は確かに
ここにいる。
こうやって
跪いている。
歩けなく
なっている。
でも少なくとも
生きている。
生きようとは
している。
その気力は
潰えそうだが。
ポンっと、
私自身から
意識が離れる。
上の方から
自分を
見降ろす。
跪いている
小さな私。
あぁ、
可哀相に。
あんなに
ボロボロなのに
周りには
誰もいない。
助けてくれる人は
いないものか。
いないよな。
じゃあ、
自分で立つしか
ない。
気力がないなら
待つしかない。
そしてまた
私に
戻る。
戻ったら
孤独感が
溢れてくる。
苦しいな。
辛いな。
壊れそうだな。
でも
このまま。
何もしない。
ただ、
待つだけ。
「待つ」
というのは、
能力なんだよ。
待てるか
どうか。
ちゃんと待てば、
何とかなるさ。
もう、
前を見ることは
やめる。
足元だけで
いい。
足元の
砂粒を数える。
それで
いい。
そうやって
待つのだ。
「待つ」というのは
能力だ。
私の最大の
能力の一つだ。
抗わない。
無理に
動かない。
無理に
歩かない。
ただ、
今は待つ。
つづく