夜は明ける
ものだな。
碧い夜の
もとを
行方知れずの
列車で
走り続け、
そのまま
闇に堕ちるのかと
不安に
かられ始めた
ところで、
向こうの方から
夜が
白んできた。
途端に
線路の軋む
音が
この耳に
伝わり出す。
生きている
実感。
これから
生きる実感。
間に合った!
とは
到底言えない。
あまりに
多くの犠牲と
悲しみがあった。
絶望とは
言いたくないが、
人の心として
そう落ちることも
仕方なかろう。
しかしそれでも
なお
夜は明けるのだ。
これを
先人達は
希望
と呼んだのか。
希望
というには
あまりに
切なすぎるが。
これから
夜が明けて
この暗い世界を
忘れる頃、
私は
同じ過ちを
忘れずに
いられるだろうか?
今度はもっと
マシな進み方が
できるだろうか?
もっと
毅然と道を
選べるだろうか?
もう
決して来ないと
諦めていた
朝が、
もうすぐ・・・。
何度も
思ったに違いない
決意を
今また
ここで。
今度こそ・・・。
つづく