全力で走って
いた。
妙にスピードが
速いなぁ、
と思っていたら、
いつの間にか、
新幹線に乗っている
自分に気づいた。
しかも
運転席のすぐ上くらいの
屋根の上に
私は座っている。
なるほど、
こりゃ速いはずだ。
と
妙に納得をして
私はその速さを
味わった。
周りの世界が
もの凄いスピードで
駆け抜けていく。
本当は
駆け抜けているのは
私(新幹線)なのだが、
しかし私は自分が
静止しているような
感覚となった。
そうか、
これくらいの
スピードになると
自分は止まっているように
感じるのだな、
とわかった。
安定しているのだ。
それは、
実際に止まっている
時よりも
雲泥の差で
安定しているように
感じられた。
左側を見ると、
海が広がっていた。
今まさに
朝日が昇ったところだ。
空も海も
キラキラ輝いている。
右を向けば、
富士山が
大きく裾野を伸ばしている。
朝日を受けながら
やさしくこちらを
見守っている。
海と富士山の
間を
超スピードで
駆け抜ける。
気持ちいいなぁ、
と思わず感嘆。
富士山も海も
ほんの一瞬しか
見えなかったが、
その一瞬の光景は
私の中に
永遠に刻まれた。
一瞬だからこそ
永遠に。
そうか、
私はこういった
人生を
望んでいるのだな
と思った。
私はやはり
超スピードで
駆け抜けたい。
まっすぐに
進みたい。
そして
周りの世界との
対面はその分
ほんのわずかずつに
なるけども、
だからこそ
その珠玉の一瞬を
永遠に自分の胸に
刻みながら
進みたい。
いつの間にか、
新幹線と私は
一つになっている。
新幹線は私であり
私は新幹線。
新幹線とは
チームだ。
そんなチームを
私は創りたい。
つづく