俯いたまま
歩けば、
きっと
ずっと前は見えない
ままだろう。
それでも
足元が気になるから
ついつい
俯いてしまう。
そんな性分の
人が、
前を向こうと
している。
前を向けば
その瞬間に、
すべてが
観えるだろう。
すべてが
わかるだろう。
しかしそれは
その人にとっては
とても
怖いことなのだ。
なぜなら、
わかってしまったら、
もし
観えてしまったら、
もう足元を
見ている場合では
なくなることが
予感として
わかっているから。
足元などには
目もくれず、
前のみを見つめ
邁進してしまう、
そんな自分に
なってしまう、
ということを
本能的に知っている
からだ。
もう
これまでの自分では
なくなってしまう。
もう
これまでの生き方では
なくなってしまう。
・・・そういう時、
ここで人は
二つのタイプに
分かれる。
一つは、
開き直って
前を向くタイプ。
もちろんその人は
邁進し始める。
生き方を
変える。
ただし、
だからと言って
足元がわからなく
なるわけではない。
前を向くからこそ、
足元の「感覚」が
これまで以上に
実在として
感じ取れ、
下を向いていた時
よりも
より安定して進むことが
できるのだという
体験をする。
もう一つのタイプは、
残念ながら
絶対に前を向くまい
と
決めてしまう。
そう決めると
人は面白いもので、
足元を見ながら
進むのではなく、
進むこと自体を
やめてしまう。
その場に蹲り、
手も足も
地面につけ、
もうここからは
一歩も動くものか、
と
意固地になる。
動かないという
ことに対して
真剣になる。
こうなるともう、
他者からは
何もできない。
もちろん
コーチングも指導も
あらゆることが
意味を成さなくなる。
二つのタイプ。
どちらのタイプを
執るかは、
その本人が決める
しかない。
どうかこの人は
前を向きますように。
そう祈り続けるしか
ない。
人生の
最も肝心なところは
何がどうあろうと、
本人が決めるのだ。
つづく