光の中に
ポッカリと
黒い点がある。
そこに意識を
集中させると、
あぁこれは
虚無だな、
と思った。
恐ろしい。
あの中に
入れば
死ぬだろうな、
と。
心底
怯えた。
人間にとって
最も恐ろしいのは
虚無
ではないか。
何か障害が
あるとか、
乗り越えなければ
ならない壁が
あるとか、
そういったもので
あれば
我々はなんとか
立ち向かえる。
しかし
虚無とは
そのような類では
なく、
人間の力が
及ばない、
むしろ逆に
すべての力を
吸い取られるような、
根本的な
恐ろしさがある。
しかしそういった
虚無は
世の中に
増えてしまった。
しかも
虚無達は
わかりやすく
虚無の形をとらなく
なった。
むしろ、
甘い顔をして
私達を誘う。
こっちへ
おいでよ、と。
こっちの水は
甘いよ、と。
そして自ら
意図せぬままに、
いつの間にか
虚無に足を踏み入れ、
出られなく
なっている人が
この10年で
急増した。
真本音度が
高まる人達が
増える一方で、
その反作用の
ように。
人々が
年々、
二極化していく。
そういった
世の中全体の流れを
感じながら、
私の中に
悲しみが
日々、重なっていく。
なんとかしたい
が
何もできない。
私にできることは
私のすべきことに
日々、真摯に
向かい続けること。
それが
世の中に増えた
虚無の浄化に
繋がることを
祈りながら。
つづく