それは幻の山だ

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山がいくつも
あった。

本当は
回避すれば
良いものを、

一つ一つを
いちいち
ちゃんと登った。

当然だが、

登れば
降りる。

せっかく
登ったのに。

頂上まで
登れば、
それなりの
満足はある。

が、
下らなければ
ならない、
それがまた
辛かった。

日の差す
頂上から、
暗闇の
谷へ。

しかし
それもちゃんと
やろうと
思った。

やりきろう、
と。

いくつも
山を
越えたが、

どれもが
越えたら
消えた。

山だと
思っていた
ものが、
実はそこには
何もなかった。

あの
頂上での
輝きの時間も
幻だったのか。

しかし
その瞬間は
ずっと
私の胸の中で
輝き続けている。

山は
ない。

わかっている
が、
それでも
目の前に
山は、
見える。

なら、
登る。

ない、と
わかっていても
登る。

そう
決めたんだ。

これは
回り道の
人生なのか?

いや、
私にとっては
最短だ。

なぜなら、

そこに
山は
ないよ。


ちゃんと丁寧に
人に
伝えられるから。

登るなら、
本当に
そこに「在る」
山に
登ろう。

幻には
登るな。

幻に
登り続けてきた
私だからこそ、

伝えられる
ことがある。

つづく

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