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大樹が
縦に割れて、
燃えている。
巨大な
火の柱が
暗闇を
明るく照らしている。
なぜ、
割れた?
あれだけの
大樹が。
なぜ、
燃えた?
命が
尽きるように。
私はただ、
呆然と
眺めている
だけだが。
すでに
できることは
ないのか。
それでも
ただ
祈っている。
燃えること
自体は
悪いわけでは
ない。
火とは、
生命力の
証でもある。
あれだけの
炎が
次の何かの
誕生につながる
こともあるだろう。
ただ問題は、
割れ方
だ。
あの割れ方
には、
潔さが、ない。
迷いながら、
割れてしまった、
という
気配が濃厚なのだ。
あれだけの
大樹が
なぜ
迷いながら
割れる?
この影響は
測り知れない。
私の呆然の
理由は
ここにある。
・・・・・・
海の向こうに
霞がかり
わずかに観えていた
塔のような
島。
小さな
島。
あそこを
いつかは
目指そうと
やってきた。
もう一歩で
準備が
できたのに。
一旦、
すべてが
ご破算になって
しまった。
私は
膝から崩れ、
もう
永遠に
立ち直れないと
思った。
その時は
本当に。
あれから
もうすぐ
8年になる。
よく
立ち直ったよ。
あの大樹は
もう
完全に
燃え尽くし、
なくなって
しまった。
そして今、
あそこまでは
大きくは
ないけれど、
新たな
大樹が
立っている。
今度は
行けそうか?
今度は
行けそうだ。
つづく