ステップアップ

普通の成長の仕方ではない

 

暗い地下から

地上に出た直後は

とても眩しい。

 

それと同じく、

実在のレベルでの

ステップアップは、

 

ステージを

上がった直後は

眩しくてしょうがない

かもしれない。

 

こんな眩しい世界で

自分は

生きていけるのだろうか?

不安になるだろう。

 

しかし

何事も慣れだ。

 

人間の凄いところは、

「慣れる」という

能力だ。

 

環境に

適応していく

その力は、

 

時々、

目を見張るものが

ある。

 

一つの段差を

登り、

ステージが変わると、

 

しばらくは

そのステージを

なだらかに進む。

 

そのうちに

その世界にも

慣れてきて、

 

最初はあれほど

眩しくて、

目も開けられない

くらいだったのに、

 

だんだんと

物足りなくなって

くる。

 

ちょっと暗いなぁ

ここは、

なんて感じることさえ

ある。

 

そうするともう

私達は本能的に

さらに明るい世界を

望むようになる。

 

その辺りでまた

次のステップが

来る。

 

次の次元、

次の世界が

来る。

 

私達は皆、

これを繰り返して

いる。

 

・・・・・・

 

なだらかに

進み、

 

段差を

登り、

 

また

なだらかに

進み、

 

・・・と

続くのだが、

 

中には

なだらかに進む

という時間が

とてつもなく

短い人がいる。

 

つまりは、

段差に継ぐ

段差。

 

なだらかな部分は

ほとんどなく、

まるで、

崖をよじ登っている

ようだ。

 

毎日、

というよりも

一刻一刻、

次元が高まって

いく。

 

だからもう本当に、

毎日が

酸欠状態のようだ。

 

突然に

エベレストの山頂に

立たされたら

我々は

息もできずに

死んでしまうだろう。

 

それに近い

状態となる。

 

私もそういった

時期があったし、

私のクライアントさんも

そういった人が

いる。

 

そして恐らく、

そのタイプの人は

これから

急増していくだろう。

 

・・・・・・

 

あえて

そういったタイプを

 

『直登タイプ』

 

呼ぶことにするが、

 

この直登タイプの

人には

特殊なサポート方法が

必要だ。

 

ところが

そういったサポートの

仕方を

知っている人は、

私が知っている限りでは

 

いない。

 

ここが、

今、私は

この社会の

最大の問題の一つ

だと

認識している。

 

直登タイプの人が

その人の望む

最速のスピードで

 

本当に

直登して

行けるかどうか?

 

これが

今後、この社会が

健康に

ステップアップ

できるかどうか?

左右する。

 

しかし

多くの場合、

直登タイプの人は

本人に

その自覚がない。

 

しかも

もし自覚したとしても

「直登」は

残念ながら

自力では

極めて難しい。

 

普通の

ハイキングしか

したことのない人に、

いきなり

何の道具もなしに、

 

数千メートルの

垂直の崖を

攀じ登れ、

言っているような

ものだ。

 

この現状を

どうしたものか?

 

今の私が

最も頭を悩ませている

ことの

一つである。

 

つづく

 

試行錯誤のない「順調」はない

「物事が順調に進む」

とは、私は

「順調に試行錯誤ができている状態」

であると考えています。

 

試行錯誤には、

・意味のある試行錯誤と

・無意味な試行錯誤

があります。

 

無意味な試行錯誤とは、ほとんどの場合

その人が自己満足で繰り返している

試行錯誤です。

それを繰り返したところで、

何の進化も発展もありません。

 

進化発展があったと、

本人が自己満足するだけです。

 

逆に言えば、

物事の進化と発展のためには、必ず

意味のある試行錯誤が

存在しています。

 

よく、

「真本音で進めば物事がスムーズに進む」

と、私は書かせていただいていますが、

その真の意味は、

「意味のある試行錯誤を続けることができる」

ということです。

 

つまり、結果だけでなく

そこに至るまでの過程(プロセス)も

私達の真本音は大事にしているということです。

 

そういった意味で、

木村さんと弓江さんの新規事業プロジェクトは

意味のある試行錯誤を続けた

と言えます。

 

それを私は確信したのです。

ですから、

 

「新規事業プロジェクトは

ここまで順調だったということです。

実は、何の問題もなかったのです。

そして、ここまで順調だったからこそ、

この場があるのです。」

 

・・・と申しました。

(→前回記事)

 

特に木村さんは、失敗もありましたが、

順調にここまで進んできたということです。

その失敗こそが、必要な試行錯誤だった

ということです。

 

まぁ、そういう「失敗」は

「失敗」とは言いませんが。

 

そして・・・。

 

新規事業プロジェクトは順調にきたからこそ、

壁にぶち当たったのです。

 

順調に来なければ決して遭遇しない

壁まで来たのです。

 

その壁を、一言で表現すれば、

 

『脱皮の壁』

 

となります。

 

人も組織も、

比例直線的には成長(進化)しません。

 

人や組織の成長(進化)とは、

階段状に進みます。

つまり、

緩やかな勾配で進み、

ある時に、階段をステップアップするための

段差にぶち当たります。

 

段差にぶち当たったら、

それを乗り越えなければなりません。

しかし、

それを乗り越えることができれば、

1ランク、ステージがアップします。

 

これまでの延長線上にはない、

新たな次元と視界と能力が

開けます。

 

この段差にたどり着くためには、

しっかりと意味のある試行錯誤を

繰り返さなければなりません。

 

これをちゃんとして来たので、

新規事業プロジェクトは今、

「段差」の下にいるのです。

 

そして、これから「段差」を乗り越えるのですが、

「段差」とは非常に怖いものです。

怖いが故に、人も組織も

この時点では、非常に不安定になるのです。

 

今、新規事業プロジェクトチームは

その不安定さが出始めている状態なのです。

 

以上のことを、

私は木村さんと弓江さんに

ご説明しました。

 

木村さんが言われました。

 

「では、その不安定さを

なくすための方策が必要なのですね?」

 

「いえ、逆なんです。

こういう時は、もっともっと不安定さを

自らに与えた方が良いのです。」

 

つづく

 

自信家になったら、危険信号

私達人間の真本音は、

自分自身に「的確な枠」をはめることを

大切にしています。

(→前回記事)

 

「無限の可能性」を発揮できないように、

わざと仕向けます。

 

自分に制限をかけます。

ストッパーをかけます。

 

その制限とストッパーに縛られる中で、

私達は、もがきます。

しかしその「もがき」は

非常に重要な「もがき」であり「試行錯誤」となります。

 

そしてその「もがき」の結果、

自ら「枠」を壊す瞬間がやってきます。

 

私はそれを

『脱皮』

と呼んでいます。

 

人は『脱皮』をすると、

ステージが一つ上がります。

次元が一つ上がります。

通常の成長(進化)とはレベルの違う

変化が起きます。

そして、まるで生まれ変わったかのように

新たな自分となります。

 

しかしその新たな自分とは、

これまでとは別人になるのではなく、

本来の自分に「一気に近づく」ということです。

 

人の成長(進化)とは

比例直線のように上がっていくわけではありません。

「階段状」に上がっていきます。

 

緩やかな進化の段階と、

一気にステップアップする段階と。

 

そのステップアップこそが、『脱皮』の瞬間です。

 

無限のステップアップをするために、

私達の真本音は、

今のステップに必要な「枠」を

自分自身に与えるのです。

 

ところが・・・。

 

この「枠」のはめ方を間違えると、

『脱皮』の瞬間は永遠にやってきません。

 

「枠」は

大き過ぎても、小さ過ぎても

ダメなのです。

 

自分にとって的確な枠をはめることこそが

重要であり、

それができているかどうか?を客観的に

観察するのがコーチの役割の一つです。

 

木村さんは、これが下手でした。

 

彼はもともと、自信家でした。

しかしその自信は、不安の裏返しでもありました。

 

俺が一番だ。

 

ということを証明するために、

常に自信のある自分を「演出」する必要が

ありました。

 

俺が一番、

・・・でなきゃ立っていられなかった、

のです。

 

そういった自信は、非常に不安定で、

何か一つのきっかけがあるとすぐに木村さんは

自信喪失状態に入りました。

 

すると今度は、

引きこもりに近い精神状態となり、

非常にウジウジとしながら

必要な行動を何もしなくなってしまいます。

 

物事が上手く行き出すと、自信家になり、

物事が頓挫すると、引きこもる。

これを繰り返していました。

 

このように、

「自信家」と「引きこもり」は表裏の関係にあり、

この二つを行ったり来たりするパターンの人は

かなり多いです。

 

そしてこういったパターンを持った人は一様に

自分自身への「枠のはめ方」が

下手です。

 

つまりは、

自信家の時は、枠を大きくし過ぎて、

引きこもりの時は、枠を小さくし過ぎるのです。

 

木村さんのその「下手さ」によって、

彼は、脱皮のチャンスを何度も逃しました。

 

しかしそれでも、彼は脱皮し続ける彼に

なっていくのですが。

最初の頃は大変でした。

 

彼はある日突然、私に向かって

「私はプロのコーチになります」

と宣言されたのです。

 

つづく