メッセージ

これが心を開くきっかけだった

 

随分前の話

なのだが、

 

「真本音」という概念に

気づき始めた頃、

私がいつも心の中で

呟いていた言葉がある。

 

「どうでもいいじゃん。

なるようになっていくから。」

 

だ。

 

当時の私は

「深刻」の塊だった。

 

心の中も

実際の人生においても

不調和の嵐だった。

 

それら一つ一つを

どのように越えていけば

よいのか?

 

さっぱりわからなかった。

 

私は自分の身を守る

ために、

誤魔化し誤魔化し

生きていたように思う。

 

そのツケが

いつも私には

襲いかかっていた。

 

この人生から

抜け出ねばならない。

 

と、

当時の私なりに

必死に思った。

 

その中でたどり着いたのが、

上記の言葉だ。

 

とにかく私は

朝から晩まで

その言葉を

心の中で呟き続けた。

 

呟いた瞬間は

一瞬、心が楽になるのだが、

すぐに直後に

深刻さが襲って来た。

 

しかしそれでも私は

何かにすがるように

その言葉を

呟き続けた。

 

今から振り返れば、

その辺りから

私の人生はゆっくりと

変わり始めた。

 

不調和の人生から

調和の人生へと。

 

・・・・・・

 

上記の言葉が

なぜ当時の私の中に

浮かんだのか?は

 

当時はわからなかったが、

今はよくわかる。

 

それは、

私自身の真本音からの

プレゼントだった。

 

このように、

自分の真本音が

自分自身にプレゼントする

「メッセージ」がある。

 

自分から自分への

メッセージであり、

それを呟き続けることで、

 

まずは心が開かれ、

その結果として

しだいに現実が

開かれていく。

 

だから私はこの言葉を、

 

『心の鍵』

 

と名づけた。

 

心を開くための

鍵となるメッセージだから

だ。

 

心の鍵を常に

自分に向けて投げ続けることで、

 

非常に地道ではあるが、

結果として

最短で人生が

開かれていく。

 

これは私だけではなく、

これまでの私の

クライアントさんの多くも

体験されてきたことだ。

 

・・・・・・

 

私は

私自身に

何をメッセージしたいか?

 

を、

まずは真剣に

考えてみよう。

 

しかしそのメッセージは、

自分を縛るもので

あってはならない。

 

呟くことで、

ギュッと心が固まってしまう

ものであってはならない。

 

無理に自分を鼓舞する

ものであってもならない。

 

呟くことで、

全身の力が

一瞬でもいいから

フッと抜けるもの。

 

しかし、かと言って

単なるやさしい言葉では

なく、

 

力の抜けた自分が

次の一歩に自然に

向かえるような、

 

そんなきっかけになる

言葉だ。

 

それを真剣に

見つけてみよう。

 

「心の鍵」探しは、

私のコーチングサポートの

根幹の一つであるし、

 

私が推奨する

セルフコーチング法の

基本に来るものだ。

 

セルフコーチングとは、

「問い」

だけではない。

 

「メッセージ」も

重要な要素だ。

 

自分への

メッセージ。

 

毎日でも

考えてほしいな。

 

つづく

 

山が動くその瞬間

「一撃必殺のコーチング」とは、

コーチがクライアントに強烈な外圧をかけるコーチング

ではありません。

 

クライアントが内側から自分自身を、

本来の自分を阻害している自分自身を

一撃必殺するきっかけを与えるものです。

 

私は、それができる瞬間を待ち続け、

平井さんのコーチングを開始してから約1ヶ月ほど経ったところで

「今がその時だ」と直観しました。

 

今こそ、平井さんの真本音が

掘り起こされる時だ、と。

(→前回記事)

 

すかさず私は彼に問いました。

「平井さん、

平井さんの心は、どこにありますか?」

 

突然そう問われ、彼はしばらく停止し、

そしてこう返されました。

 

「・・・不思議です。

どこにもないような気がするのです。」

 

この一言を聴いた瞬間、

私の体の中心からゾワーッと鳥肌が立つような感覚が

広がりました。

この独特の感覚・・・。

目の前の人が真本音の声を発した時、

この感覚が必ず私に起こります。

 

それは、何かの不純物が溶かされるような

感覚と言ってもよいかも知れません。

 

この一言はまさしく、

平井さんの真本音の一言でした。

 

私はそのまま次の問いを投げました。

ここからが『真本音コミュニケーション』の始まりです。

 

「平井さん、

平井さんの心はいつからないのですか?」

 

「・・・。

子供の頃からない気がします。」

 

ゾワーッとした感覚。

 

「心がなくなってしまった原因はわかりますか?」

 

「・・・。

多分、母親が原因です。

私の母は人から尊敬されるような母でした。

私はそんな母の影響をかなり強く受けました。

母は、私を子供の頃から人格者に育てようとしていました。

私は、そんな母に認めてもらうために、

母から褒められるためだけに生きていました。

子供の頃から。

それが今も続いています。」

 

ゾワーッとした感覚が続き、

私は全身が痺れるようになっていました。

彼の言葉はすべて真本音から出されています。

 

彼の目は真っ赤になり、

今にも泣き出しそうです。

 

「平井さん、

平井さんは、自分を取り戻したいですか?

本来の自分に戻りたいですか?」

 

彼は声もなく、ただ、コクリと頷きました。

 

これで、確認は終わりです。

平井さんは、本来の自分に戻りたいと

真本音で思っているか?

の確認です。

 

平井さんは今、完全に「真本音状態」です。

その彼が、何の迷いもなく

「Yes」の意思表示をされました。

 

これで先に進めます。

 

次に私が行なうことは、

平井さんにとっての「一撃必殺の一言」を

訊くことです。

 

平井さんの真本音が、平井さん自身に対して行なう

「メッセージ」です。

 

真本音からのメッセージを自分自身に投げることで、

平井さんの「一撃必殺」が成されます。

 

私は問いました。

「平井さん、

本来の平井さんが、今の平井さんに伝えたい

メッセージは何ですか?」

 

平井さんはまた停止しました。

ただただ、停止しました。

 

そして、ポツリと呟きました。

 

「・・・たけうちさん、

私のこれまでの人生は、

何だったのでしょうか?」

 

その瞬間、

平井さんの真本音が彼自身に

どのようなメッセージを投げかけたいか?

が私に一斉に伝わってきました。

 

そのメッセージはあまりにも本人にとっては

強烈すぎて、うまく顕在化できないものでした。

 

これはよくあることです。

本当は、クライアント本人が自らの口で

自らにメッセージするのが理想です。

 

しかしそのメッセージが強列過ぎる場合は、

その勇気が出ません。

そういった場合、コーチである私に

そのメッセージが送られてきます。

それは一見、テレパシーのような感じですが、

そういった超能力のようなものではありません。

 

人と人は本当に向き合い続ければ、

言葉を超えたところで、お互いの本当の気持ちが

伝わり合います。

それはコーチだからできる、というものではなく、

誰もができること。

それが、私達人間の本来持ち合わせている力、

本当のコミュニケーション能力です。

 

平井さんは自分自身への真本音メッセージを

私に送ってきたのです。

そういった場合は、私が平井さんの代わりに

メッセージをお伝えする必要があります。

 

私は自然に浮かんでくる言葉を

何の躊躇もなく、そのまま平井さんにお伝えしました。

 

それはかなり強烈な一言でした。

 

「平井さんのこれまでの人生はすべて、

“自己愛”です。」

 

平井さんの全身の力が抜けるのが

わかりました。

 

つづく