前回の記事の続きです。
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生まれ持った強みを掘り起こし発現させるためには
ある「スイッチ」が必要である、という話でした。
ある中小企業の経営幹部の中原さん(女性)にとっての
スイッチとは、
『自己中心になる』
ということでした。
それを私は彼女にお伝えしたのですが、
当初、中原さんは少しばかり抵抗をされました。
「私は自分が本当は自己中心であることを
よくわかっています。
だからこそ、それを出さないようにしてきました。
私が本当に自己中心になってしまったら、
周りにどれだけ迷惑をかけることか・・・」と。
実は、この中原さんのケースのように、
「スイッチ」をお伝えした時に、抵抗をされる方が
大半です。
どちらかと言えば、「スイッチ」というのは、
ご本人が「そうしないように気をつけていた」類のものが
多いからです。
私と中原さんは
「もし、あの場面で自己中心に中原さんが振る舞ったとしたら、
中原さんはどのような言動をし、その結果どうなるか?」
をいくつかイメージングしました。
イメージングすると、だいたい悪いイメージばかりになります。
それはそうでしょう。
だからこそ中原さんは「自己中心にならない自分」を
一生懸命保ってきたのですから。
私は、中原さんに尋ねました。
「中原さん、本当はその時、どうしたかったのですか?
その時本当に相手に伝えたかったことは何ですか?
もし何の制約もなかったとすれば、何ができたらスッキリしますか?」
「えっ?」と言いながらも中原さんは少し恥ずかしそうに、
「本当は、こんなことを言えれば私はスッキリするんですが・・・」
と、彼女の素直な気持ちをお話しされました。
「中原さん、もし今度同じような場面があった時に、
その通りの言動をしてみてはどうですか?」
「いやぁ、それは無理だと思います。とてもとても・・・。
私には、自己中心はできないですよ。」
「では、中原さんが本当に取りたい行動の
10分の1でもよいですから、ちょっとだけでも
やってみませんか?」
私が執拗に言うからでしょうか、
中原さんは渋々という感じで、
「わかりました。やれる範囲でちょっとだけ
やってみます。」
とおっしゃいました。
本来、コーチングとは、
このようにクライアントに渋々行動を起こさせることは
ないのですが、
私は時々、こういうことをします。
時には、「騙されたと思ってやってみてください」と
押しつけることもあります。
ご本人がどういった気持ちであろうとも、
とにかく「やってみなければわからないこと」が
あるからです。
しかも、今が絶好のタイミングの場合は、
私は無理強いをしてでも行動を促します。
さて、
半ば渋々コーチングを終えた中原さんでしたが、
2週間後にまたお会いした時には、
第一声で次のように言われました。
「たけうちさん、案外、いい感じでした。」
つづき