樹が
燃えている。
青い炎で
燃えている。
樹は
何かを叫んで
いるようだ。
訴えて
いるようだ。
それに耳を
傾けてみる。
それは、
呻くような声。
「私を
ここから
出してくれ」
苦しみを伴って
伝わってくる。
どうすれば
いい?
私に何が
できる?
そう問うが、
樹はそれには
答えず、
ただ
「出してくれ」
を繰り返す。
私は
樹の周りを
観察した。
幹の表面が
青く燃えている
のだが、
ただ燃えている
だけで、
樹そのものには
何の変化もない。
そこで
気づいた。
その樹は
樹ではない。
樹だと思ったのは
私の解釈に
過ぎない。
これは一種の
牢屋のような
もの。
この樹の形のような
牢屋に
何かが
閉じ込められている
のだと。
私は
私のエネルギーを
思いっきり
樹にぶつけた。
眩い黄色の
光となって
爆発が起こる。
樹に
穴が空いた
ようだ。
穴の中に
私は入って行く。
中は
何もない、
ように見える。
しかし注意深く
探索する。
すると、
何かが逃げようと
していた。
とても小さな
何か、だ。
私は急いで
それを追い、
手で
捕まえた。
小指の先ほどの
小さな小さな
もの。
それは
怯えているように
感じた。
その小さなものに
語りかける。
君は
何だ?
その小さなもの
は、
自信なさげに
消え入りそうな声で
答えた。
「私は、ヒントです」
ヒント?
「はい。
この人が
本来の自分に戻る
ためのヒントです」
じゃあなぜ
こんなにも小さく、
しかも
逃げようとする?
「この人が
本来の自分に戻る
意思がないからです」
この牢屋
みたいなのは?
「これもこの人の
意思です。
私を閉じ込めて、
ちゃんと自分の
手元に置いておこうと
する。
でも、私を見ようとは
しない。
私は弱っていきます。
もうこんなにも
小さい。
私は消えそうです。
私が消えたら、もう、
この人は
本来の自分には
戻れないでしょう」
なるほど。
そういうことか。
私は
私の意識を
「現実」
に戻した。
私の目の前には
「ヒント」君が呼んでいた
「この人」
がいる。
私のクライアントさん
だ。
「この人」は
現時点では
本来の自分に戻る
意思はないようだ。
「ヒント」君ももう
消えてしまう。
さぁどうしようか?
何とか
しなければ。
・・・最近、
この手のコーチングが
多過ぎる。
つづく