まったく胸に響かない想いに、どう対処する?

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それは、新規事業プロジェクトが動き出し、

計画の実行段階に入った頃のことでした。

 

木村さんが突然、私に

「たけうちさん、私はプロのコーチになろうかと

思います」

と言われました。

(→前回記事)

 

私は内心、

うわぁ、そう来たかぁ、

と思いました。

 

もちろんそれは、

反応本音レベルの彼の発想です。

ですから私には、

ただの言葉遊び、言葉の上滑り、

としか感じ取れませんでした。

 

通常の私のコーチングの場合、

反応本音レベルの発想がクライアントさんから出たとしても、

特にそれに対して、こちらが「反応」することはありません。

かと言って、無視もしません。

ただ普通にその発想を受け取るだけで、

肯定も否定もしません。

 

すると、コーチングセッション中は、

普段よりも真本音度合いが高まっていますから、

そのクライアントさんの反応本音レベルの発想は

自然に、消えていきます。

途中から、どうでもよくなってくるのです。

 

そして、真本音レベルの発想に

移っていきます。

 

私はそこには何の操作もしません。

 

しかし時折、クライアントさんが

自分の発想は真本音からの発想である、と

思い込む場合があります。

 

つまりそれは、自分自身の

真本音と反応本音の区別がついていない

という状態です。

 

しかし私から見れば、

明らかに反応本音レベルの発想です。

 

そういった場合は、

そこに、かなり強烈な「反応本音のパターン」が

存在していることになります。

クライアントさんからして見れば、

自分の真本音であると思い込むくらいに強い

反応本音のパターンが

そこにある、ということです。

 

その場合は、ある意味、チャンスです。

強烈な反応本音のパターンを浮き彫りにし、

それを自ら「壊す」ことにつながるからです。

それができれば、

そのクライアントさんは、より真本音度合いを高めることが

できます。

 

木村さんの中には、

強烈な反応本音のパターンが、たくさんありました。

 

特に顕著だったのが、

自信家になった時の彼の「イケイケ」のパターン。

もう一つが、

自信を喪失した時の彼の「ウジウジ」のパターン。

 

この時は、

その「イケイケ」のパターンが出たのでした。

 

ただしそれが出たとしても、

私は基本的には、すぐに否定することはしません。

 

私は木村さんに、プロコーチになろうと思った

その理由を訊きました。

 

想像通りの答えが返って来ました。

 

「今回、私は新規事業プロジェクトをさせていただいて

強く思ったんです。

プロジェクトメンバーを主役にしたチーム創りというのが

いかに素晴らしいか、ということをです。」

 

ちなみに、

「メンバーを主役にする」

「社員を主役にする」

というのは、木村さんの尊敬する上司である平井さんの

理念の一つです。

 

「それに、たけうちさんからチームコーチングのやり方を

教わって、それをやってみて、

これは本当に素晴らしいな、と思ったんです。」

 

「どこが素晴らしいと思われたんですか?」

 

「何と言いますか、

これまでの私は自分の枠に人をはめる、ということばかりを

して来たと思います。

しかし、人を尊重して、人の発想を促して、それらを形にする、

という方が、自分の想像を超えた展開を生み出す、

ということが、身をもってわかったんです。

これこそが、本当のリーダーシップではないかと思いました。」

 

言っている言葉の一つ一つは一見、素晴らしいですし、

彼の感情も想いもそこには込められていました。

 

しかし、

まったくこちらには響いて来ません。

 

それは、反応本音レベルだからです。

 

しかし残念ながら、このレベルの想いに基づいて

動いてしまっている「人」や「組織」がいかに多いことか。

 

真本音と反応本音の区別をつけないことが

いかにその後の展開に大きな違いを生み出すか?

ということを、こういった場面で私はいつも

実感します。

 

木村さんはさらに続けました。

 

「それに私は気づいたんです。

私が伸ばすべき強みは、コーチング力ではないかと。

チームコーチングの手法を使いながら、

私は、コーチとしての自分、がいかに楽しいか、を知りました。

しかも、楽しいだけでなく、みんなが実際に発想を広げ、

主体的になり、新規事業も一気に軌道に乗ろうとしています。

私は、こういった素晴らしい展開を、自社だけでなく

他社でも起こしたい。

プロのコーチとして、いろんな企業でチームコーチングをしたい、

と思ったんです。

これって、私のビジョンではないか?と。

真本音の願いではないか?と思ったんです。」

 

私はこの時、

少し心の中で迷いました。

 

かなり、かなり、短絡的な表現で書きますと、

次の二つの選択肢による迷いでした。

 

一つは、

今この場で、きちんと「否定」するか?

もう一つは、

「少し、泳がせてみる」か?

です。

 

前者の場合、

「木村さん、残念ですが今の木村さんの言葉は、

まったく私には響いて来ませんよ。

つまりそれは反応本音レベルの発想です」

と、そのままお伝えします。

 

恐らくそれをすれば木村さんは、

すぐに自分が反応本音だったということに気づき、

恐縮するでしょう。

反省するでしょう。

 

しかし、それを今の木村さんは本当に望んでいるでしょうか?

 

私は心の中で、木村さんの真本音に向かって

語りかけました。

 

「木村さん、今、私にどうしてほしい?」

 

言葉には出していません。

心の中で、彼の真本音に向かってそう問うたのです。

 

すぐに「返答」がありました。

 

「ここは私が自分のパターンを壊すために

とても重要なチャンスです。

今すぐの否定はやめてください。

最も、良いタイミングでの否定を私は望みます」

と。

 

言葉で表現すると、

このような返答がありました。

 

と言っても、実際に木村さんがそう言われたわけでは

ありません。

 

私の心の中からその返答が

「浮かび上がって来た」のです。

 

しかしそれは、私の「イメージ」でも「解釈」でも

ありません。

 

木村さんの真本音の意思を

私はダイレクトにキャッチしただけのことです。

 

これも「真本音コミュニケーション」の一つです。

 

そしてこれも、

私にだけできる特別な能力ではなく、

本来、私達人間すべてに備わっている

コミュニケーション能力の一つです。

 

私は心の中で、

「わかりました。

では、あなたの言う通りにしますね」と

お伝えし、その上で現実の木村さんにお伝えしました。

 

「木村さん、わかりました。

では、木村さんがプロのコーチになるために、

私は、どんなサポートをさせていただければよろしいですか?」

 

つづく

 

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