木村さんと弓江さんの二人コーチング。
二人とも短時間でオープンマインドと
なりました。
場の空気があたたかくなってきました。
ここで私は一気に場の次元を上げることを
しました。
普通では、なかなか投げない質問を
あえて弓江さんに投げました。
弓江さんの真本音の高まりを感じ取った
からです。
「弓江さんの人生の目的は何ですか?」
虚を衝かれた弓江さんは
一瞬、フリーズしました。
しかしさすが弓江さんです。
これまでの私のやりとりの中で、
私の無茶振りに慣れてきていたようです。
こういった時は何も考えず
ただ口を動かせばいい、というコツを
すでに掴んでいました。
彼女はとっさに答えたのです。
「リーダーのサポートです。」
答えながらも、弓江さん自身が
その答えに驚いていたようでした。
「どんな意味かわかります?」
と私が問うと、
「私はずっと探してるんです。
自分が全力でサポートしようとするリーダーを。
それは仕事の上、だけでもない気がします。
例えば私の人生のパートナーとなる人とか。
私は、自分がサポートしたい人を見つけ、
その人を全力でサポートしたいのだと思います。」
考えて言葉にしているわけではありません。
言葉が溢れ出ている感じです。
自分で答えながら、自分で驚いている、
という状態です。
実はこれは日常茶飯事です。
特別なことではありません。
自分自身が抑えていた想いや願いは、
ほんのちょっとしたきっかけでフタを開け、
一気に溢れ出ることがあるのです。
ただしそれができるのは、
真本音度合いが高まっている時に
限ります。
「弓江さん、
目の前にいる木村リーダーは、
弓江さんが全力でサポートしたいリーダーですか?」
私は単刀直入に訊きました。
「はい、そうです。」
と答えながら、
弓江さんは目に涙を浮かべました。
「でも、今の私には、それをするだけの力が
ありません。」
木村さんは茫然とその様子を
見ていました。
「木村さん、
実はこれが、弓江さんの真本音です。
弓江さんは真本音で木村さんをサポートしたいと
思ってるんですよ。」
「は、はぁ・・・。」
「でもね、弓江さん。
木村さんに言いたいことがあるのでしょ?
せっかくなので、全部言っちゃいましょうよ。」
弓江さんは、肚を決めたように
喋り出しました。
「今の木村リーダーは、全然木村リーダーらしく
ないんです。
私は、木村リーダーがロックバンドをしているのを
ライブで見たことがあります。
あぁこれが、この人の本当の姿なんだと感動しました。
でもそれが全く仕事では出ていません。
特に、新規事業プロジェクトが始まってからは。
いい子ちゃんリーダーになってしまっている感じが
するんです。
でも、私は木村リーダーを尊敬しています。
木村リーダーがあのロックバンドのような姿を見せれば、
みんなついてくると思うんです。
私は、そんな木村リーダーになってほしい。
そのために私ができることがあるなら、
何でもしたいと思ってるんです。」
涙を流しながら、
しかし静かに彼女は語りました。
その瞬間、
私は、その場の次元が一気に高まったのを
感じました。
これは私独自の感覚なのかも知れませんが、
次元が一気に高まると、
私はその場全体がまるで霧がかかったように
真っ白に見えるのです。
と同時に、何かが開放された感覚がします。
弓江さんの顔も、木村さんの顔も
何か憑き物が落ちたような自然さが
漂いました。
さぁ、実はここまでが準備段階です。
私はこの状態にしたいのです。
次元が高まることで、
私だけでなく、その場にいる全員が
真本音コミュニケーションを
自然にできる状態です。
ここからが
チームコーチングの本当の意味での
スタートなのです。
つづく
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