物事には最善のペースがあります。
ゆっくり進む方が良い時と、
一気に加速した方が良い時と。
ゆっくり進む方が良い時は、
「待つ」ことが必要となります。
どれだけ気が焦っても、
そこで待てるかどうか。
逆に、一気に加速した方が良い時は
多少強引でも、多少人の気持ちを無視してでも
スパートすることが必要です。
例えば、仕事の場合、必ず期限があります。
期限が一週間後に迫っていた場合でも、
あえてゆっくりと待った方が良いこともあります。
(もちろん期限は守ります。)
期限に余裕があったとしても、
今はスパートすべき、ということもあります。
「今、どのくらいのペースで
物事を進めれば良いか?」
実は、真本音度合いが高まると、
このペース配分に対する直観力が
極めて高くなります。
真本音というのは、決して理想論のことでは
ありません。
理想的な「想い」は真本音で、
現実は現実として、それとは別に進みましょう、
ということは一切ありません。
自分自身の真本音を大切にするということは
実に「現実的」な判断を、
今この瞬間に最善のスピードで下し続けることが
可能になります。
なぜなら、私達の真本音は「現実」を
大切にしているからです。
「現実に生きる」ことを大切にしているからです。
そして、「現実」とは「今」です。
自分の揺るがない「想い」と
今ここにある「現実」を
完全に繋ごうとするのが、
私達の真本音の最も大切にすることの一つです。
ですので、
真本音度合いを高めることによって私達は
「今この瞬間における最善の決断」を
し続けることができます。
それが、「物事の最善のペース」を
自然に創るのです。
この辺りの感性が、平井さんは素晴らしかった。
「今、動くべき」と感じた時の彼の瞬発力は
抜群でした。
少し前に、「今でしょ」という言葉が流行りましたが、
平井さんこそ、「今でしょ」の人です。
ただし念のために申しますが、
「今ではないな」と直観した時には、
平井さんは逆に、テコでも動きません。
そのメリハリが、実に真本音的で清々しいのです。
社長と平井さんの真本音を
社員の皆さんにぶつけよう。
(→前回記事)
そう決めた平井さんは、すぐに全社員さんを
集めました。
次の日に。
通常はあり得ない話です。
平井さんの会社の社員さんは、当時約50名。
そのほとんどの方が、現場に出ています。
今日の明日で、全員が集まるということは
普通では無理です。
しかも社長も忙しい人なのです。
しかしここが真本音の直観の面白いところ。
「今でしょ」の平井さんが、
「明日やる」と決めて動いたら、
すぐに「明日の夕方であれば、全員参加が可能」
ということがわかりました。
後から考えると、
本当に、あのタイミングしかなかった。
あれを外していたら、
恐らく、その後の展開は大きく変わっていたでしょう。
平井さんの組織活性化が成功した
一番のキーポイントは何ですか?と
今問われたとしたら、私は
「あの時、あのタイミングで、社員さん全員に
社長と平井さんの真本音の想いをぶつけることが
できたからです」
と答えるでしょう。
本当にあの日しかなかった。
一日変われば、もうこの流れは起きなかったかも
しれない、とさえ私は思います。
しかしこういったことは
会社経営においては実は、
日常茶飯事だと思います。
こういった「今でしょ」のチャンスを
ひょっとすると多く逃しながら経営をしている
可能性が、どこの企業にもあります。
真本音度合いを高めるということは、
そういったチャンスに、実に敏感になれる、
ということでもあるのです。
次の日の夕方。
平井さんの会社の一番広い会議室に
全社員さん達が集まりました。
社員さん達の前に、
社長と平井さんと私の3人が並んで
椅子に座りました。
皆さんの前で、
私が社長と平井さんのコーチングを
するのです。
そうです。
お二人の真本音のぶつける、とは
お二人が社員さんに向かってメッセージをする
のではありません。
いつも行なってきたお二人へのコーチングを
社員さんの前でそのまま行なうのです。
つまりは、
公開型のコーチングです。
つづく