人やチームが脱皮する時に
大切にすべき原理原則の3つ目は、
『物事を深く考えない。
表面上のことだけに目を向ける』
・・・ということでした。
(→前回記事)
私は弓江さんに問いました。
「その原理原則を大切にすると、
これから新規事業プロジェクトが脱皮を
きちんと完了するために、
何が必要だと思いますか?
表面上のことで良いですよ。」
う〜ん、と弓江さんは考え込みました。
すると、木村さんが口を挟みました。
「そういうことで言えば、
さっき弓江が言っていた、
ペアが良くない、
ペアを変えるべき、
ということのような気がします。」
「あぁ、なるほど!」
もともと、新規事業プロジェクトチームが
脱皮をしようとしていることに
気づけたきっかけは、
「ペアを変えるべきではないか」
という検討課題が出されたからでした。
(→【一つになることで、すべてがどんどん晴れ渡っていく】)
新規事業プロジェクトチームは
基本的には二人一組で活動をするそうです。
そのペアの組み合わせが良くないと
弓江さんが直観的に指摘しました。
しかし、二人ともこれまでは
今のペアの組み合わせが最善であると
思っていたのです。
しかしこの二人コーチングの場で考えると、
今のペアに違和感ばかりが出る、
ということでした。
私はその二人の話を聴いて、
なるほど、今のこのプロジェクトチームは
脱皮をしようとしているのだ、
これまで最善だと思っていたことが、
最善ではなくなるんだ、
だから、脱皮のために必要な変化を
ここで起こさなければならないんだ、
ということに気づいたのでした。
そうするとやはり、
「ペアの組み合わせを変える」
というのは、
脱皮のためにも必要なことのように
思えます。
「では、一度、
ペアの組み方を発想してみましょうか。」
「はい、まずは。
それをしないと次の発想が出ない気が
します。」
「これまでのペアというのは、
・お互いの能力が補完できること
・相性がいいこと
を基準にして組んでいたのでしたね?」
「はい。」
「では、これからの基準はどうします?」
しばらく木村さんは
無言でいました。
そして私に何とも言えない不思議な
目を向けてきました。
「たけうちさん、・・・
ちょっとわけがわからないのですが・・・。」
「どうしました?」
「ペアをどう変えようか?と考えようとすると、
富士山が噴火しているイメージばかりが
頭の中に出てくるんです。」
それを聴いて、
弓江さんの目が、
キラッと楽しそうに輝きました。
その二人の様子を見て、
あぁこれは「実在」だな、と私は思いました。
「木村さん、いい傾向ですね。
それは単なるイメージではなく、
木村さんの真本音発想がカタチになった
ものですよ、きっと。
私の言うところの、実在、というやつです。
だいぶ、発想が柔らかくなりましたね。」
木村さんは少し
照れ臭そうに笑いながら言いました。
「でも、イメージは鮮明ですが、
意味がよくわからないのです。」
「じゃあ面白いので、
意味がわからないままで
ペアを組み直してみましょうか。」
「そんなことができるんですか?」
つづく
人や組織が「脱皮」をする時、
平常時とは真逆の原理原則が
働くことがあります。
その一つが、
『不安定をどんどん自分に与え、
しかも無茶をするとよい』
ということでした。
(→前回記事)
さらに、原理原則をご紹介しましょう。
それは、
『未来のことは考えない。
刹那的になるとよい。』
ということです。
脱皮時に、未来のことを発想をしても、
真本音の発想は、
一つも出てきません。
一つも、です。
たとえその時に「これは良いアイデアだ」と
思ったとしても、
脱皮を終えた後で振り返れば、
ほぼ間違いなく、
「どうでもいいこと」に思えてきます。
脱皮の時というのは、
私達は、脱皮そのものに対して
必死になります。
それ以外のことには、
エネルギーをかけないようになります。
ある意味の、省エネです。
特に、未来の発想に関してのエネルギーは
ほぼ、ゼロになります。
そんな状態での発想は、
それこそ悪い意味での刹那的な発想に
過ぎなくなります。
むしろ私は、
脱皮時における未来発想は、
すべて「捨てるべき発想です」と
断言してしまうことも多いです。
ですので、そういったことはやめて、
「今この場をこなすこと」
のみを考えればよいのです。
前回、私は
「脱皮時こそ、自由発想しよう」
ということを書かせていただきましたが、
その自由発想とはあくまでも、
「今、どうするか?」
ということに関する自由発想である
ということになります。
要するに、
「今」
に集中するのですね。
「今のみ」
に集中するのです。
これが、脱皮時における原理原則の
二つ目です。
さて、
原理原則の3つ目をご紹介します。
これについては、
木村さんと弓江さんの二人コーチングの場面に
戻りましょう。
私はお二人に脱皮についての解説を
しました。
その上で、次のように問いました。
「この二人コーチングの真の目的は、
これから脱皮を迎えようとしている
新規事業プロジェクトチームに対して、
何ができるか?
何をしてはならないか?
を発想することだとわかりました。
そんな視点で、
お二人から何かアイデアはありますか?」
二人はじーっと考えていましたが、
弓江さんが口を開きました。
「せっかくですので、
私は脱皮をするならとことん脱皮をした方が
よいと思うのです。
ですので、新規事業プロジェクトの理念とか
方向性とか、改めてゼロベースで考え直すというのも
面白いと思います。」
これは非常に素晴らしい意見ですが、
実は、
「ゼロベースで考え直す」
というのは、平常時にこそすべきことだと
私は思っています。
私は、本当のリーダーとは、
常に、あらゆることをゼロベースで発想し直す人である
と思っています。
ゼロベースからの発想は
非常に意義深いものが多いです。
しかしそれは
平常時にこそ、毎日続けることです。
では、脱皮時はどうでしょう?
脱皮時の原理原則の3つ目は、
『物事を深く考えない。
表面上のことだけに目を向ける』
ということなのです。
つづく