平井さんは人生で初めて、
自分の中に「中心軸」が生まれたのを
感じたそうです。
(→前回記事)
それはとても気持ちのよいものでした。
恐らく、私が真本音というものを「海」のような存在として
実感したのと同様の感覚だったと思います。
実を言うと、
「中心軸」は最初からそこにあるものです。
真本音とは
最初からそこにあるのです。
というよりも、それこそが「本来の自分」であり、
それ以外の自分は極端に言えば
「幻想の自分」と表現してもよいくらいです。
人は「本来の自分」の存在を感じ取ることで、
まるで酩酊状態から覚めたような感覚を得ます。
シラフに戻った感覚。
我に返った感覚です。
その状態を「覚悟」と言います。
「覚悟」とは、
我に返った自分が、
・自分の為すべきこと
・自分の為すべき役割
・自分が本当にしようと思っていること
に向かおうと決めることで現れる
私達人間にとっては実に自然な状態です。
「自然体」と言ってもよいでしょう。
平井さんはその状態に入りました。
中心軸を思い出し、自然体に戻り、
覚悟を持った平井さんは初めて、
これまでの自分にいかに中心軸がなく、
不自然で、覚悟のない状態のまま
闇雲に生きていたか、を思い知ることになりました。
「これまでの自分が気持ち悪い」
と言い出したのはここからです。
「以前の自分は寄生虫でした」
と表現したのもここからでした。
本来の状態に戻って初めて、
自分が「普通でなかったこと」や
「気持ち悪い状態で生きていたこと」に気づいたのですね。
そして人は、
気持ち悪い状態には戻りたくない生き物です。
ですので平井さんは、
覚悟を持つのが当たり前の状態として
進むことができるでしょう。
もちろん、「ぶり返し」というのはあります。
つまりは以前の自分の状態に戻ってしまうことです。
平井さんも実際に、その後に、ぶり返しを
何度も経験されました。
しかし一度でも本当に覚悟を持った人間は必ず
そこに戻ることができます。
しかも、ぶり返しを経験すればするほど、
どのような状態になってもすぐに本来の状態に戻れる、
そんな力が養われます。
そうして平井さんは
人として本来持っている「自分の人生を生きる力」を
開花させていきました。
覚悟を持った平井さんが実際にされたこと。
まず平井さんは自分なりの経営計画を
創られました。
それを社長に提出し、社長と何度も話し合いを重ね、
それが承認されると、
次に彼が行なったのは社員面談でした。
彼は、「社員を主役にするリーダーシップ」を発揮したい
という真本音の願いを持っていました。
それを実現するためです。
それまでの平井さんは、
社員さん達の声をじっくりと聴くことは
ほとんどして来ませんでした。
社員面談自体は何度もされたそうですが、
それは「声を聴いたふりをしている面談」だったそうです。
「私にも真本音があったのと同様に、
社員にも真本音があるはずです。
私はそれを知りたい。
皆の真本音を尊重し、真本音の願いが共鳴し合う
会社にしたいのです」
というのが平井さんの目的でした。
その結果として必然的に経営計画を達成したいのだと。
とにかく平井さんは社員さん達と
向き合って向き合って向き合い続けました。
「向き合うのが本当に楽しいです」というのが
平井さんの口癖になりました。
で、この時になって平井さんは
平井さん本来の「味」を醸し出していたのです。
平井さんのお話をなぜ書かせていただいているか?
それは、私達人間の持つ「本来の味」について
お伝えしたかったのが、このブログの平井さんストーリーの
スタートでした。
人は、どうすれば
本来の味を醸し出すことができるのか?
その答えは、
「覚悟」であり「中心軸」であり「自然体」です。
そしてそれらは、
「覚悟を持たなきゃ」でも「中心軸を持たなきゃ」でも
「自然体にならなきゃ」でも
実現できません。
自分自身の真本音に素直に行動することで、
自然にもたらされるものです。
本当に覚悟を持っている人は、
「私には覚悟がある」
などとは表現しません。
それはあまりにも自然な状態だからです。
そういった人は、
その人本来の味を醸し出し、
それがその人ならでは魅力として
周りには映ります。
それは言葉では表現できないような
感覚としての魅力です。
なんかこの人と一緒にいたいな。
この人と一緒に仕事していると幸せだな。
この人とこれからもずっと一緒にがんばりたいな。
そんな気持ちを自然に湧き立たせてくれる
魅力です。
そういった人が
組織や社会に溢れるといいなぁ、と
私は心から思います。
つづく