生まれる前の決断

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すぐ背後に
膨大な
滝があり、

いつ
呑み込まれるかも
しれないのに、

ほんの小さな
岩の上に

毅然と立つ
一人の人。

じっと
私を
見つめている。

その眼力の
強さに
圧倒される。

しかし
わかっている。

彼にも
私は
同じように
映っていると。

私達は
対峙していた。

私の背後にも
激しい滝が
ある。

滝と滝の
闘い。

一瞬でも先に
動いた方が
負けだ。

彼の滝が
揺れた。

私に
襲いかかって
くる。

水飛沫が
私に
かかる。

幻影に
過ぎない。


私は胸の内で
呟く。

すると
轟音の向こうに
野原を
感じた。

気持ちの良い
平原。

私はそこを
自由に
駆けた。

伸び伸びと
空まで
飛んだ。

私は
笑い、

気がつくと
彼は
岩から
落ちていた。

私は
勝ったのか?

いや、
そうではない。

彼は
私だ。


自身だ。

彼もまた
幻影に
過ぎない。

私にある
唯一の
実在。

それはこの
足裏に
感じている
もの。

岩の
先端。

尖った
感じの
もの。

そこに
私の
魂がある。

私は
私の魂に
乗っかっている。

私は
やはり
この魂を
選ぼう。

決めた。

完全に。

さぁ、
では、
生まれよう。

つづく

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