閉じるしかない

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そうして、
目は
閉じられた。

二度と
開くことは
なかった。

それまで
見えていたものは
消え、

記憶も
消えた。

目は
死んだのか?

目の
大本である
持ち主も。

いや、
そうではない。

ずっと
生きている。

生きながらに
して
閉じただけだ。

目は
見ることを
放棄したのだ。

放棄しなければ
進まないから。

見えることに
よる
粘りつくような
執着。

それらを
一度、
リセットさせねば
ならない。

きれいに
洗い流さねば。

見えることは
罪である。

見えなければ
こんなに
悩むことは
なかっただろう。

だから、
今後は永遠に
見えなければ
いい。

目は
そのように
決めたのだが、

しかし
そのように
頑張れるのは
わずかな
期間だ。

目は
目だからだ。

そこに映る
何ものかは、

目に
吸い込まれる
だろう。

目と一つに
なることで、
目は
さらにその
研ぎ澄ましを
極めていく。

今、

目に映っている
あなたの
目。

これ以上
見つめ合えば、
戻れなく
なるだろう。

私達は
もう
分離をせねば。

私は
そのために
目を閉じる。

あなたは
閉じないのだな。

つづく

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