あと二日だよ

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目の前に

滝がある。

 

大量の水が

激しく

落ち続けている。

 

激しい水飛沫が

私の全身を

襲う。

 

水飛沫、

うっとうしいなぁ。

 

と思った私は

いっそのこと

滝壺に

潜り込んでしまおうと

思い、

その通りにした。

 

すると

もの凄い水圧がまた

私に襲いかかってきた。

 

大概はここで

やめてしまうのだが、

 

そして

滝から離れて

しまうのだが、

 

なんだかこの滝、

気になるのだ。

 

だからちょっと

がんばって

さらに水中に

潜ってみた。

 

水圧に負けずに

潜り続けると、

 

しだいに

静かになった。

 

滝壺の

奥の奥は

意外にもとても

静かだった。

 

そこに、

誰かいた。

 

静かに目を閉じて

眠っているようだ。

 

ある意味、

サナギのようにも

見える。

 

私はその人に

近づいてみた。

 

声をかけようと

したが、

それよりも前に

その人が誰か

わかった。

 

「どうしたん?

なんでこんなところで

眠っている?」

 

その人に問うと、

その人は目を閉じながら

答えた。

 

「もうちょっと

眠らせたおいて

ください。

もうすぐ

起きますから。

起きたら、

羽化しますから。」

 

そっか。

 

今、その人は着々と

準備を進めているんだ。

 

こんな滝壺の

底で。

 

「なんでこんな場所で

準備を進めてるの?」

 

「自分を試すためです。

この恐ろしい滝壺を

通って、

外の世界に向かうには

相当の覚悟と勇気が

必要です。

でもそこに立ち向かえる

私になれれば

私はやっていける。

それができれば

ちゃんと羽化できます。」

 

「そうなんだ。

あまり無茶しないでね。

あと何日くらいで

羽化できそうなの?」

 

「あと二日だと

思います。」

 

「おー、あと少しだね。

応援してるよ。」

 

私は上昇した。

 

するとまた

激しい水の渦が

私を襲った。

 

そこを突き抜けると、

私は滝壺の

外に出た。

 

この滝壺を、

あの人ももうすぐ

上がってくるのだろう。

 

そうしたら

新たなあの人と

出会えるのだろう。

 

その後の展開が

楽しみだな。

 

あと二日。

 

待ち遠しいな。

 

つづく

 

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