羽化

羽化

 

すべてのことに

立ち向かう必要は

ないが、

 

それでも

 

私達には

必ず

立ち向かわなければ

ならないことが

ある。

 

そこからは

逃げては

ならない。

 

それは

自分自身が一番

よくわかっている。

 

立ち向かうべきと

しっかり

立ち向かう。

 

これを真摯に

一つずつ

やり続ければ、

 

自分の人生を

拓くという意味で、

自分にとって

本当に必要な力が

養成される。

 

養成され

蓄積される。

 

そして

ある時ある瞬間に

それらが一気に

花開く。

 

まるで

羽化をするように

自己開放が

起こる。

 

ちゃんと

一つずつ

立ち向かうべきと

立ち向かい

続けるからこそ、

 

私達は

そうなれる。

 

自己開放。

 

その直前は

苦しくなるが、

 

そこで

これまで培った

生き方が

試される。

 

試される

と言っても

自分が自分を

試しているだけだ。

 

自分が自分に

納得をし、

OKを出したら

羽化が始まる。

 

自己開放が

完了する。

 

これを繰り返し

ながら

私達は

本質的成長を

続ける。

 

今のあなたの

その

不安定さは、

 

きっと

羽化直前の

ものだ。

 

しっかりと

不安定なままで

いること。

 

逃げるように

安定を

求めないこと。

 

つづく

 

すべてをあきらめよ

 

昔、

山に登っていた頃、

山の上で台風に遭うと、

それはそれはもう

ひどいことになった。

 

しかし、

台風は

あらゆるものを

吹き飛ばし、

さらって行く。

 

だから

台風が去った後は、

霞も塵もすべてが

なくなってしまったような

超純粋な濃い

青空となった。

 

台風は本当に

大変なのだが、

それくらいの

大きなものが来ないと

ここまでの純粋性は

実現できないのではないか、

よく思った。

 

人の心も

よく似ている。

 

心の中にも

台風が起こる。

 

それは私の表現で

言えば、

「脱皮」とか

「羽化」とか

そういった逸脱した

成長の手前で起こる。

 

本人にとっては

たまったもんじゃない。

 

立っているだけで

やっとの状態。

 

あらゆる余裕も

ゆとりもなくなり、

自分を失う。

 

人によっては

人生そのものを

捨てたくなることも

ある。

 

それくらいの

状況を経て初めて

たどり着ける場所が

ある。

 

・・・・・・

 

心の中に

台風が起きた時は、

 

できれば

その台風に

身を任せてしまって

ほしい。

 

間違っても

台風を無くそう

としてはならない。

 

もしくは、

台風がそこにあるのに

「ないのだ」と

必死に自分に

言い聞かせたり。

 

そういった「抵抗」は

してはならない。

 

それをしても

良いことは

一つもない。

 

せっかくの

「脱皮」や「羽化」が

成されなくなる。

 

台風の意味が

なくなってしまう。

 

心の中に台風が

起こるということは、

 

それだけのことが

起きても大丈夫な

自分になれた

ということ。

 

だからそんな自分を

信じて、

どれだけ不安定に

なっても

どれだけ自分を

失っても

どれだけ絶望に

落ちても、

 

ただただ

身を任せてほしい。

 

・・・・・・

 

この7月から8月に

かけて、

「脱皮」や「羽化」を

行なっている人が

多い。

 

ところが

それらの人達は今、

二つに分かれている。

 

「台風」に身を任せ、

すでに「脱皮」「羽化」を

完了させた人と、

 

「台風」に抵抗し続ける

ことで

未完了のままの人。

 

未完了の人はきっと

あまりに

苦しいだろう、今。

 

だからと言って

「台風」から逃げたり

抵抗してはならない。

 

あきらめて

ほしいのだ。

 

すべてを

あきらめれば

いい。

 

すべてを。

 

つづく

 

あと二日だよ

 

目の前に

滝がある。

 

大量の水が

激しく

落ち続けている。

 

激しい水飛沫が

私の全身を

襲う。

 

水飛沫、

うっとうしいなぁ。

 

と思った私は

いっそのこと

滝壺に

潜り込んでしまおうと

思い、

その通りにした。

 

すると

もの凄い水圧がまた

私に襲いかかってきた。

 

大概はここで

やめてしまうのだが、

 

そして

滝から離れて

しまうのだが、

 

なんだかこの滝、

気になるのだ。

 

だからちょっと

がんばって

さらに水中に

潜ってみた。

 

水圧に負けずに

潜り続けると、

 

しだいに

静かになった。

 

滝壺の

奥の奥は

意外にもとても

静かだった。

 

そこに、

誰かいた。

 

静かに目を閉じて

眠っているようだ。

 

ある意味、

サナギのようにも

見える。

 

私はその人に

近づいてみた。

 

声をかけようと

したが、

それよりも前に

その人が誰か

わかった。

 

「どうしたん?

なんでこんなところで

眠っている?」

 

その人に問うと、

その人は目を閉じながら

答えた。

 

「もうちょっと

眠らせたおいて

ください。

もうすぐ

起きますから。

起きたら、

羽化しますから。」

 

そっか。

 

今、その人は着々と

準備を進めているんだ。

 

こんな滝壺の

底で。

 

「なんでこんな場所で

準備を進めてるの?」

 

「自分を試すためです。

この恐ろしい滝壺を

通って、

外の世界に向かうには

相当の覚悟と勇気が

必要です。

でもそこに立ち向かえる

私になれれば

私はやっていける。

それができれば

ちゃんと羽化できます。」

 

「そうなんだ。

あまり無茶しないでね。

あと何日くらいで

羽化できそうなの?」

 

「あと二日だと

思います。」

 

「おー、あと少しだね。

応援してるよ。」

 

私は上昇した。

 

するとまた

激しい水の渦が

私を襲った。

 

そこを突き抜けると、

私は滝壺の

外に出た。

 

この滝壺を、

あの人ももうすぐ

上がってくるのだろう。

 

そうしたら

新たなあの人と

出会えるのだろう。

 

その後の展開が

楽しみだな。

 

あと二日。

 

待ち遠しいな。

 

つづく