ガッシリと
根を張ったように
立っている。
あぁ、あの人は
揺るがない。
幹は太く、
まっすぐだ。
あの人は
揺るがない。
だけど、
枝が風に
揺れている。
枝の先の
細い部分が
踊るように
揺れている。
大樹のような
その人は、
こう言った。
「私はいつも
揺れ揺れ
なんです。
自分にどうしても
自信を持てません」
・・・よくあること。
根も幹も
しっかりしている
人ほど、
表面上の
小さな心の揺れに
敏感だ。
それは、
敏感になっても
大丈夫だから
敏感なのである。
ちょっとした
擦り傷を
「痛い!痛い!」
と
痛がる。
それは
健康の証。
それだけ
敏感な自分で
いられるのだ。
敏感だから、
揺れるから、
自分は弱い、
自分は小さい、
と
思うなかれ。
小さなことも
感じとり、
しっかり揺れる
のは
大きさの証だ。
かと言って、
自信など
持つ必要もない。
「自信がない」
で、
いいよ。
そのままで。
ただ、
やるべきことのみ
ちゃんと
やろう。
今日やることは
今日やる。
明日やることは
明日やる。
揺れようが、
自信がなかろうが、
やる。
それだけ
だね。
痛がりながら
進むのは
実に人間らしい。
人間を
味わっている
ということだね。
そのままで
いい。
つづく