
この大地には
何がいるのか
わからない。
豊穣な土。
生命力の
ある草原。
成長力漲る
樹々たち。
そこには
目には見えない
無限とも言える
存在が
きっと
溢れ出ん
ばかりに。
そして彼らは
今、
私に意識を
向けている。
あれは
何者なのか?
と。
私は
包み隠さず
自分を
晒す。
煮るなり
焼くなり
好きにしたら
いい。
ただ私は
あなたたちに
この身を
預けるだけさ。
・・・・・・
自分を守る
という意識は
きっと
とうに消えている
のだろう。
いつの間にか
そういう意味では
楽になった
もんだ。
とはいえ
もちろん
恐怖は出る。
それで
いい。
人間
らしい。
・・・・・・
後ろから
足音が
近づく。
敵か
味方か?
そんなことは
もう
どうでもいい。
どちらでも
いいんだ。
そういう
単純なことにも
いつの間にか
気づいていたよ。
・・・・・・
前からも
後ろからも
私に
覆い被さってくる
ものはある。
数知れず。
ある一定の
量は良いが、
それ以上は
ダメ、
というように
本能的に
調整することも
今はもう
なくなったよ。
・・・・・・
遥か彼方まで
延々と続く
大地。
このどこかに
私は眠る
ここでずっと
眠ってきた。
そろそろ
目覚めの
時だ。
それが
目覚めるため
には、
これまで
私である、と
思ってきた
あらゆるものを
手放さなければ
ならない。
私は
私のままで
良いのだが、
別に
私、でなくても
良い。
と、
そんな自分
として。
そう。
私は
誰でも
いいのだ。
私は
どこにでも
いるし、
どこにも
いない。
つづく