弓江さんに引き続き、木村さんも
無事に脱皮をしました。
古い皮を脱ぎ捨てた二人は、
今、極めて「普通」の状態で
私の目の前にいます。
私はようやく、今回の二人コーチングの
準備が整ったな、と思えました。
ここからがようやく「本題」です。
今回の二人コーチングの目的は、
半分の人数で再スタートしようとしている
新規事業プロジェクトチームの
組織活性化戦略を見出すことです。
今、二人は脱皮しましたが、
これからはこのチームも
脱皮をするはずです。
むしろ、脱皮をしなければ先に進めない
とも言えます。
木村さんは、
チームの脱皮を果たすためにも
私(たけうち)に、もう一歩深く
チームと関わってほしいと要望されました。
では私は実際に
どのような形で何をすればよいか?
を見出そうとしています。
「弓江さん、
チームの脱皮のためには、
まずは木村さんと弓江さんの脱皮が必要、
ということでしたが、
今、お二人は無事に脱皮ができました。
次に必要なことは何だと思いますか?」
「・・・それがよくわかりません。
今、ご質問を受けて思ったのですが、
私はチームの脱皮というものがどういうことかを
まだイメージできてないのです。
チームの脱皮というのは通常、
どのように成されるのですか?」
「チームとは人の集まりです。
ですから、人が脱皮することでチームが
脱皮します。
しかし、チーム員全員が脱皮しなければならない
ということではありません。
どのチームにも必ず、“要”(かなめ)となる人が
います。
“要”とは、影響力の大きな人のことを
言います。
つまり、その人が変わることで、チーム全体が
変わるくらいの影響力を持った人のことです。」
「それは、リーダーということですか?」
「もちろん、リーダーという可能性もありますが、
この“要”というのは、現実現象レベルというよりも
実在レベルの話です。
ですから、現実の立場云々には捕らわれない
話です。
例えば、100人の組織でも、
リーダー以外のたった一人が大きく変わることで
組織全体が劇的に変わる誘発剤になる、ということも
充分にあり得るのです。
そういった影響力を持つ人が誰か?
を見極めて、その人の大きな変化、つまりは脱皮を
促します。」
「その“要”というのは、
私達のチームの場合、木村と私(弓江)以外の
メンバーの中にもいる可能性がある
ということですね?」
「そうです。
ここにいるお二人以外にも“要”となる人が
いると思います。
その人を見つけることは重要です。」
ここで木村さんが口を開きました。
「私達のチームは、人数が半分になり、
今は我々二人を入れても6名となりました。
こんな少人数でも、“要”と言われる人が
いるのでしょうか?」
「はい、います、きっと。
もちろん人数が少ないので、全員が“要”である、
という見方もできます。
しかし実際にそうであったとしても、
それでも、“要の中の要”という人はいるはずです。
まずはその人に強烈な刺激を入れることで
チームの脱皮は非常に楽になります。」
「チームが脱皮すると
どうなるのでしょうか?」
「個人の脱皮と基本的には同じです。
個人の脱皮は、余分な皮を脱ぎ捨てることで、
これまでの考え方・価値観に変化が起きます。
何を大切にすればよいか?という
考え方の優先順位が変わったりします。
しかもそれは、非常にスッキリと
よりシンプルなものになります。
それにより、その人の行動パターンが変わります。
その人の発揮する能力も変わります。
そして、必然的に成果の出方も大きく変わります。
それと同じことが、
チームとして起こる、ということですね。」
「まさしくそれは私の望んでいることです。
私は今ここで、もっともっとチームの
考え方も行動パターンもシンプルなものに
したいのです。
もっと一貫性を持ちたいのです。」
「そうなるための最も楽な道を
見出しましょう。
そのためには、“要”社員を特定することです。」
弓江さんが言われます。
「ということは、次に必要なのは、
私達の次に脱皮すべき、
チームの“要”が誰か?を
見つけることですね。」
「ということになりますね。
では、そのためには
どうすればよいと思いますか?」
「私は、たけうちさんに
チーム員のことをもっとよく知っていただいた方が
よいと思います。
誰が“要”となり、誰が脱皮すればよいかを
木村と私(弓江)だけでは特定することは
現時点では難しいと思います。」
「わかりました。
では、そうしましょう。
つまりは、チーム員の現状把握ということですね。
そのためには、私が実際にチーム員の皆さんに
お会いした方がよいですが、
その前に、お二人から見たチーム員お一人お一人
の印象をお聴きしたいのです。
恐らくそれだけで、誰が“要”か?の
おおよその見当はつけられますので。」
つづく
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