成果

どんなに成果が出ても

 

成果が出れば

出るほど、

 

自分を見失う

人は多い。

 

物事が上手く

運び、

皆が喜び、

 

一つ一つに

手応えと

成長を感じる。

 

しかし

そのような素晴らしい

現象が起き続けても、

 

実はそれは

自分自身の真本音とは

真逆の道に進んでいる、

 

ということは

あるのだ。

 

ある意味、

この状態こそが

最も危険とも言える。

 

もちろん

その状態の本人は

自分は幸せだ、

思っている。

 

しかし、

第三者が向き合えば

一目瞭然だ。

 

表情が

おかしい。

 

目つきが

おかしい。

 

目は輝いているが、

輝き方が

変だ。

 

そして何よりも

凄いエンティティ(ストレス)

だ。

 

でも本人としては

その状態は

幸せなつもりなので、

 

そこから

抜け出せなくなる。

 

そしてそれが

限界まで続き、

 

様々なものが

膨張の限界を迎え、

 

ある時に

すべてが弾ける。

 

破裂する。

 

中には、

破裂する前に

病気になってしまう

人もいる。

 

残念ながら

そこまで行かないと

なかなか本人だけでは

気づけないものだ。

 

私も経験があるし、

誰もが

一歩間違えれば

そうなる。

 

それが人間だ。

 

とは言え、

これからの時代、

もうそういった

回り道はしない方が

いい。

 

こういう時にこそ、

良いコーチがいたり、

 

もしくは

その人自身に

セルフコーチング力が

あると、

本当に助かる。

 

自分自身が

自分とちゃんと

毎日、向き合うこと。

 

そして、周りに

いつも

真正面から向き合って

くれる人が

いること。

 

それは、

私達の人生を、

そして命を

救ってくれることも

あるんだよ。

 

つづく

 

今のあなたに、大地はありますか?

あなたの心の中には

「大地」が存在していますか?

 

一度、心の中をしっかりと

確認してみてください。

 

その「大地」は

どれくらいの広がりをもっていますか?

 

無限ですか?

それとも、有限ですか?

 

その「大地」には

何が存在していますか?

 

その「大地」は

生命力に溢れていますか?

 

もし「大地」そのものがない場合、

今は、どのような場所に

あなたはいますか?

 

どのような不安定さを

感じていますか?

 

真本音で生きている人は

無限の「大地」を感じるはずです。

 

人によっては

「大地」よりもさらに安定した何かの存在を

感じるかもしれません。

 

もし「大地」の安定感を得られないのであれば、

現時点で言えば、

あなたの真本音の度合いは

それほど高くはありません。

 

その状態のまま先に進もうとすれば、

不安定さから生まれる恐怖感によって

物事の判断をしてしまうでしょう。

 

恐怖感による判断は、

不調和を生みます。

 

後悔を生みやすいです。

 

まずは「大地」を得ることが

大切です。

・・・いえ、正確に言えば、

すべての人にすでに「大地」は存在していますから、

その「大地」を見つけることが

肝要です。

 

そして。

 

人と同じく、組織やチームにも

「大地」が必要です。

 

「大地」が存在しているチームであるかどうか?

によって、

そのチームの生み出す成果は

雲泥の差となります。

 

面白いことに、

例えば、3人のチームがあったとして、

その時点では確固たる「大地」が

存在していたのにも関わらず、

そこに、新たなメンバーが一人加わるだけで、

その「大地」が一瞬で失われる。

・・・そんなことも日常茶飯事です。

 

つまりチーム(組織)とは

人数が揃っていれば良い、というものでは

決してありません。

 

「大地」を持ったチームであるのか否か?

「大地」を持つためには、

誰をチームに入れて、

誰を入れてはならないか?

ということが重要なのです。

 

そういった意味から言えば、

木村さんの新規事業プロジェクトチームは

人数を半分に減らされたことにより、

「大地」を手に入れることができたのです。

 

木村さんは直観的に言われました。

 

「新規事業プロジェクトは、

メンバーが半分になったことにより、

私は生産性が何倍にも上がると確信しています。

そして、少なくとも当初の目標の

1.5倍以上の売上・利益は達成できるはずです。」

(→前回記事)

 

この木村さんの直観を、

私は何の淀みもなく

受け取ることができました。

 

そういう時は、

本当にその通りになります。

 

新規事業プロジェクトチームは、

ここにきてようやく、

「本来のカタチ」になったのです。

 

そしてその「本来のカタチ」に見合った

ペア編成を、

木村さんと弓江さんはあらかじめ1ヶ月前に確定し

実行に移していた、ということになります。

 

こういったことは

すべて後でわかることです。

 

あぁなるほど、そういうことだったのか、と。

後で、わかります。

 

現在進行形のその場では、

決してわかりません。

 

その場でわかったとしたら、

それは単なる「解釈」です。

 

私達にできることは、

自分自身の真本音度合いを高めることで

自分の中に「大地」を見出し、

その「大地」を感じながら進むこと。

 

今この瞬間を

進むこと。

 

それのみです。

 

つづく

 

自分の口から驚くべき一言が

平井さんにとって、

社長と向き合うことがいかに怖いことか?は

同じような経験をした者として

非常に理解できます。

 

しかしその怖さを乗り越えて、

いえ、正確には、怖さすらそのまま抱きながら、

彼は社長のもとに向かいました。

(→前回記事)

 

以下は、後に平井さんと社長のお二方から

お聴きした内容です。

 

それまでの平井さんは、社長とお話をする場合は必ず、

事前にメールにてアポイントを取っていたそうです。

それは、平井さんの社長への気遣いだったのですが、

この時は違いました。

彼はいきなり社長のもとを訪れ、

「今から、ぜひお時間いただけませんか?」と

お願いしたそうです。

 

後に社長にこの時のお話を聴くと、

これまで見たことのない迫力で、

平井さんが迫ってきたそうです。

その顔を見た瞬間、これは只事ではない、と直観し、

時間を取ることを決めたそうです。

 

実はこれは後でわかったことですが、

この時、社長に予定が入っていなかったというのは

平井さんの勘違いで、

社長には別のアポが入っていたそうです。

ところが、社長はそのアポをリスケして、

平井さんとの面談を選んだそうです。

アポのリスケは、社長が最も嫌うことの一つでした。

大変、珍しいことです。

 

でもそれをさせるくらいに、

平井さんの迫力が凄かったのでしょう。

 

とはいえ、平井さんは社長と向き合い、

そこで自分が何を喋るのか、まったく自分でも

わかっていませんでした。

ただ、「今、向き合わなければ」という確信のみが

あったそうです。

 

誰もいない会議室で

お二人は向き合いました。

社長はただ黙って、

平井さんが喋るのを待っていたそうです。

 

実は私はすでに平井さんに

真本音コミュニケーションをやり方をお伝えして

ありました。

相手に意識を乗せ、相手に委ねることで

それは自然に成されることを。

ただしそのためには、平井さんご自身が

真本音状態でなければなりません。

 

平井さんはとにかく必死に

社長に意識を向けたそうです。

社長のお顔をじっと見つめたその瞬間、彼は

自分は社長の顔を初めてあるがままに見たのではないか、

と思ったそうです。

 

と、次の瞬間、平井さんは自分の口から

驚くべき一言が出されたのを聴きました。

 

「社長、私はこの会社の社長になりたい!」

 

これは、そう告げた平井さんご自身が

本当にびっくりされたそうです。

俺は一体、何を言ってるんだ?と困惑し、

慌てて訂正をしようとさえ思ったそうです。

 

ところが。

 

その後、湯水のように平井さん口から

言葉が溢れたそうです。

それはまるで他人が自分に乗り移り、

自分の体が乗っ取られたような感覚だったそうです。

 

しかし、それこそが平井さんの本心。

本当の平井さんの発する言葉達でした。

真本音の言葉達でした。

 

「社長、私はこの会社の社長になりたい!

でも、これまでの私ではなれません。

これまでは、私は自分をずっと偽り続けてきました。

社長をも偽り続けてきました。

自分の本心とは違うところで、社長に評価されるためだけに

私はやってきたんです。

これを見てください。」

 

と言って、彼はなんと、社長への罵詈雑言を綴った

パソコンの中身をそのまま社長にお見せしたのです。

 

後からこのお話を聴いて、

さすがの私も冷や汗が出ました。

これはまったくの想定外。

でもやはりこれも平井さんの真本音の行動でした。

 

社長は黙って、その罵詈雑言達をしっかりとすべて

読まれたそうです。

 

「社長、これが私の真実です。

私はこの気持ち達をずっと自分の中に抑えて

仕事をしてきました。

酷い人間でした。

でもこれらの気持ちを解放したら、

初めて、私はこの会社を本当に愛していることに、

社員達を本当に愛していることに気づきました。」

 

その後も平井さんの想いは

溢れ続けたそうです。

 

これまで平井さんが、ご自分の想いをこのように

躊躇なく口に出したのは初めてのようです。

これまではどちらかと言えば、不言実行タイプ。

決めたことは着実に実行されてきた人なので、

逆に、これらの想いには説得力がありました。

 

後に社長は、

「正直、あのパソコンの中身を見せられた時は

ギョッとしました。

コイツは病気ではないか、と思ったくらいです。

でも、長年の彼の行動を私は見てきました。

あれだけ会社に尽くしてくれた彼だからこそ、

私はしっかりと彼の話を最後まで聴こうと

その時、思いました。」

 

そして、

「彼の想いを初めてあれだけたくさん聴いたと

思います。

単純に嬉しかったですよ。

一言一言が胸に響きました。

だからこそ私はあの時、彼に厳しく言うことができました。」

 

平井さんの想いの数々を聴いた後で、

その時、社長は次のように告げられたそうです。

 

「君の気持ちはわかった。

では、その気持ちを行動と成果で見せてくれ。

その気持ちに見合う成果が生まれれば、

君はこの会社の社長になれるだろう。

しかしそうでなければ、君に社長の資格はない。

君の気持ちを聴くのは、今日限りにしよう。

これからは、成果ですべてを示してほしい。」

 

その瞬間でした。

 

「私の中にシュッと一つの中心軸が

通った気がしたんです。

自分の頭のてっぺんからつま先まで、

まっすぐな筋が通った感じがしました。

あぁこれが、覚悟を持った状態なんだと

思いましたね。」

 

その次の日からの平井さんは

ありとあらゆる行動が変わったそうです。

 

彼の新しい人生が

始まったのです。

 

つづく

 

穏やかな顔の奥にある、強烈な拒絶

人間の魅力はどこで決まるか?

 

この問いには様々な答えがあると思いますが、

重要な答えの一つとして、私は

 

「その人本来の味を出せているかどうか?」

 

であると、企業現場においていつもつくづく

感じています。

 

特にリーダーという役割を果たす人が

・その人本来の味を出しながらリーダーシップを発揮するのと

・その人本来の味を消しながらリーダーシップを発揮するのでは

同じ人がリーダーをやっても雲泥の差が生まれます。

 

その差とは、

人がそのリーダーに対して抱く信頼度の差だけでなく

業務上の成果の差としても如実に現れます。

 

チームのメンバーがイキイキと仕事をし、かつ

チームとしての輝かしい成果を上げている場合、

まず間違いなく、そこには

「自分の本来の味を醸し出している魅力的なリーダー」

が存在します。

 

さて。

 

そういった意味で、

前回から例に出させていただいている平井さんは

最悪の状態だったと言ってよいでしょう。

(→前回記事)

 

平井さんは、本来の「味」を出しているどころか、

平井さんという「存在」そのものを私は

感じ取ることができませんでした。

 

なぜなら、彼の心の中心には、

「社長から評価を得たい」

という気持ちがドップリと根付いていたからです。

 

彼の言動のすべては、

そこから始まっていました。

 

彼は、決断力がありました。

彼は、堂々としていました。

彼は、とても言葉が巧みでした。

 

しかし、彼の部下は皆、疲弊していました。

 

そして本人は気づいていませんでしたが、

平井さん自身も、疲弊の極みにありました。

 

しかし彼のコーチングの初期段階では、

取り付く島がありませんでした。

 

私がどのような質問をしても、

彼の口から出てくる答えは、私の胸には

響きませんでした。

つまりそういう時は、

その人の本心の言葉ではない、ということです。

 

ですので、私は彼の本心を理解したいと

思いました。

 

ところが、彼は肝心なところに来ると、

空気感でもって、私を拒絶しました。

 

タチが悪いのは、

表面上の彼は穏やかだったことです。

しかし、「これ以上は私に触らないでください!」と

悲鳴にも似た拒絶が

空気感としてこちらに伝わって来るのです。

 

これにはまいりました。

 

彼の口癖は、

「そういうものですから。」

それ以上でもそれ以下でもないので、もうこの件については

これ以上問わないでくれ、

という彼の拒絶の意思表示でもありました。

 

ですので、コーチングの初期では

随分と沈黙の多い時間となりました。

 

沈黙の最中も、彼は穏やかな表情でいました。

すべてを私は受け止めますよ、

という表情。

 

しかしそれは表面だけ。

表層の皮を一枚剥がせば、

彼は「拒絶」の権化でした。

 

彼の言う、「そういうものですから」という彼の答えは、

もともとすべて、社長が言われた言葉ばかりでした。

 

つまり彼の中では「社長がすべて」。

「社長が真実」。

「社長が原理原則」。

そして、

その原理原則は、何があっても崩れない、

というものでした。

 

これがいわゆる、「社長が取り憑いた状態」です。

 

一種の洗脳状態ですが、

これは彼自身が望んで、

自らそのような状態を創り出していました。

 

もちろん、社長にも問題はあったでしょう。

こういった状態になるまでには、

社長のコミュニケーションの取り方も

原因としては大きいとは思います。

 

しかし、基本的には彼の自業自得。

 

彼自身が望んで創り出した現実。

 

彼は自ら社長が取り憑いた状態を創り出し、

自らの人格を、ある意味、殺しました。

 

そんな彼がリーダーをするわけですから、

彼の部下の皆さんのほとんども、

多かれ少なかれ、自分らしさとか自分の本当の気持ちを

押し殺したまま仕事を続けていました。

 

私がある意味、すごいなぁ、と感心したのは、

そのような状態でも、ある一定以上の業績を

彼と彼の部下の皆さんは残していたことです。

 

これは本当に凄い。

 

しかし、それ以上に、彼らの疲弊ぶりは

尋常ではありませんでした。

いつ誰が倒れてもおかしくない状態。

しかも「そのような状態で頑張ることが格好いい」という風潮。

 

なかなかに酷い状態でした。

 

実はこの後、平井さんは劇的な改善をし、

本来の自分を取り戻していくことになるのですが、

そういった状態になった後で、部下の皆さんに当時のお話を聴くと、

皆さんはまだ健全だったことがわかりました。

つまりは、

「あの頃は最悪でした。

私は、本音の一つも口に出せませんでした。

平井さんのことが気持ち悪くてしょうがありませんでしたし、

この会社にいることが、本当は嫌で嫌でしょうがありませんでした」

と素直に思っていたのです。

 

しかしそのような状態でもある一定以上の業績を出せるということは、

彼らのもともとのパワーがとてつもなく高かった

ということでもありました。

 

逆に言えば、

そんな彼らが、本来の自分として働けたら、

さらに凄いことになる、ということです。

(実際にそうなりました。)

 

さて、このように酷い状態の平井さんでしたが、

彼が本来の自分を取り戻し、

本来の「味」を醸し出せるようになるまで、

実は半年もかかりませんでした。

 

もちろん私自身も

そんなに短期間で改善されるとは

当初は思いもよりませんでした。

 

一体何が起きたのか?

何を起こしたのか?

 

公に書けるギリギリのところまでを

思い切って書いてみようかな、と

思っています。

 

つづく