時々、
街並みが
浮かぶんだ。
まばゆい
夕日の光に
包まれた、
オレンジに
輝く
都市のビル群。
そこには
たくさんの
人達がいる。
今、私がいる
東京のように。
でもそれは
実在の
街並みなんだ。
確かに
存在しながらも
今の私達の
まだ知らない街。
そこには
確かに
生活がある。
人生が
あるのだが、
今の私達には
知る由もない。
一つ一つの
存在が
際立ち、
現象ではなく
実在そのもの。
本来、
私達みんなが、
目指している
街並み。
独自の個性と
調和による
ハーモニー、
夕日とも
一つになって
いる。
自然とか
人工物とか
関係ない。
一つ一つが
唯一無二の
存在たち。
尊重と
共振の
世界。
・・・・・・
時々、私は
そこに
帰っていく。
そして
思い出す。
何を
思い出したのかは
わからないのに
思い出した
という事実だけは
わかる。
私は今、
思い出すべき
ことを
思い出したな。
と
わかる
安心感と共に、
私は
その街を
離れる。
またこれで
しばらくは
がんばれそうだ。
・・・・・・
私には
帰る場所が
ないのでは
ないか。
ということを
感覚的に
得てしまい
悩む人がいる。
気持ちは
わかるよ。
この
現象の世界では
確かに
どこに帰っても、
本当の
我が家では
ない気がする。
本来の街
では
ない気がする。
そうなんだ。
この現象の
世界には、
まだ、それは
ないのだ。
だから
私達が自ら
創り上げねば
ならない。
帰る場所を
ここに
実現するんだ。
・・・・・・
背中に
受けた
あの夕日の
焼けつくような
感覚を
そのまま
素直に
背負いながら、
私は
今日も明日も
現象の世界に
向かっていく。
まだ
ここには
何もない。
私達は
まだ
何も成して
いない。
これからだ。
ここからだ。
つづく