「実在」と「イメージ」とは
まったく異なるものです。
「イメージ」とはあくまでも私達の頭の中で
創り出したもの。
悪い言葉で言えば、妄想と同じです。
しかし「実在」は、実在と言うだけあって
実際にそこに存在するものです。
ただし、私達が生きているこの3次元の
現実世界の事象としては、
捉えることができない、と言うだけのことです。
私達が現実世界で捉えているものはすべて
私達の脳で捉えているものです。
視覚・聴覚・体感覚。
つまりは五感と言われるものはすべて
脳という機関を通じて捉えているものです。
しかし、私達の脳で感知できる周波数は
非常に限られています。
脳で感知できないものの方が
圧倒的に多いのです。
脳では感知できないが、
確かにそこに存在しているもの。
それが「実在」と私が呼ぶものです。
それは霊感ですか?
と訊かれることもありますが、
霊感ではありません。
もちろん、幽霊というものも
脳では普通は感知できない周波数だと
思いますので、実在の一つかもしれませんが、
私自身は幽霊を感知することはありませんので、
よくわかりません。
もし、幽霊というものがあっとしても、
それは恐らく、エネルギーレベルとしては
かなり弱いものだと思いますので、
私が感知できないだけかもしれません。
私は、エネルギーレベルの高い実在を
感知することができます。
エネルギーレベルの高い実在というのはつまり、
人の「真本音」です。
そしてそういったエネルギーレベルの高いものを
感知する能力は、
本当は誰もが持っています。
しかし、
使わないだけなのです。
使い方を知らない、とも言えますが。
「真本音」とは圧倒的にエネルギーの高いものです。
ですから、「実在」を感知する能力がつけば、
「真本音」の存在感は
否が応でもわかります。
本当の意味で、
「実在」を感知するためには、
脳を使わずに感知する力を高めることです。
その力が伸びれば、
脳を使わずに物事の本質をつかむことが
できるようになります。
脳(五感)を使って捉える物事が、
いかに薄く、淡いものであるか、ということも
まざまざと知ることになります。
その能力は、
きちんと訓練をすれば誰もが伸ばすことが
できますが、
そのためには、まずは
五感(脳)を使って実在を捉える、というのが
ファーストステップです。
二人コーチングの場で、
弓江さんの脱皮をサポートするにあたり、
弓江さん自身に、古い皮がどうなっているかを
見てもらったり、
木村さんに、その皮をもぎ取ってもらったりしたのは、
「実在」を感知する力を伸ばす訓練の一つ
でもありました。
弓江さんも木村さんも
かなり的確に「実在」を捉えていました。
そして実際に、
弓江さんは「脱皮」を果たしました。
(→前回記事)
弓江さんは、
「正義」という名の古い皮を
手放しました。
そこから解放されたのです。
結果的に、
弓江さんの古い皮は私が受け取りました。
私は腰がドーンと重くなるのを感じました。
そして、言いようのない苦しみを覚えました。
この苦しみは、
無意識に弓江さんが味わい続けていた
ものです。
私はすぐに、その古い皮を
浄化しました。
今はコーチングのその場で
同時並行で浄化できますが、
以前の私にはそれができませんでした。
一日のコーチングが終わって
家に帰ってから必死に浄化をする、
という毎日が何年も続きました。
時には、浄化が
次の日の朝までかかることもありました。
いえ、
何日もかかることもありました。
浄化力というのも
訓練によってかなり高まります。
今はその場で大半のものは浄化できますので、
随分と楽になりました。
私は、コーチには、
・「実在」を感知する力
・「実在」に変化を起こす力
・「実在」を浄化する力
が必要であると思っています。
そういった力を持ったコーチを
養成するというのも
私の使命の一つだと思っています。
つづく
木村さんとお話しした後、
(→前回記事)
私は少し弓江さんともお話をしたく
なりました。
あえて1対1で
お話ししたいと思いました。
弓江さんはすぐに時間を
取ってくださいました。
さっそく私は本題に入りました。
「弓江さん、突然の展開でしたね。
プロジェクトメンバーが半分に縮小されることになり、
今はどんなことを感じていらっしゃいますか?」
「木村とも話していたのですが、
実はそれほど驚いたわけではありません。
何となくこうなることは
わかっていたような気がします。」
「特に気負いもなさそうですね。」
「はい。
むしろ、スッキリした気分です。
今の縮小されたメンバーだけの方が
正直言いまして、やりやすいです。」
「木村さんは、これで生産性が
上がるのではないか、と言われてました。」
「私もそう思います。
もちろん、残されたメンバーは未熟です。
能力も経験も高めなればいけませんが、
それはさほど難しいことのように
思えません。」
やはり弓江さんは
今回のこの展開をニュートラルに
受け止めているようです。
しかも私は彼女から
一種の覚悟のようなものを感じました。
「何となくですが、
今の弓江さんからは覚悟のようなものを
感じるのですが、自覚ありますか?」
「覚悟ですか・・・。
それほど大仰なことではないと思いますが、
私は、たけうちさんがおっしゃったように
チームにおけるコーチとしての在り方を
貫こうと思っています。」
「具体的にはどういったことに
注力されるのですか?」
「まずは、木村リーダーのサポートです。
彼が、これまで以上に本来の彼を出せるように、
私は彼の隣で寄り添います。
そして、メンバー一人一人の育成です。
私自身が前線に立つというよりも、
前線に立つ彼らを育成するということが
私の役割だと思っています。
彼らの成長が、すべてを決めますね。
そう思っています。」
一言一言が
とても腑に落ちる感覚がありました。
すべて真本音で語っているようです。
「私は木村さんから、
もう一歩深くプロジェクトに関わってほしい
という依頼をいただきました。
チームメンバーにも直接関わってほしい、と。
弓江さんはどう思いますか?」
「ぜひお願いします。
私はコーチとしての在り方をしたいと
言いましたが、
そんな私自身がまだまだ未熟です。
たけうちさんにお願いしたいのは、
私を指導してほしいということです。
私をコーチングするというよりも、
私のメンバーへの対し方を現場でご覧いただき、
私を厳しく指導してほしいのです。」
なるほど。
この一言を聴くために、
私は弓江さんとお会いしたのだなと
思いました。
「弓江さん、直観でお答えください。
今のチームの力を数字で表すと
いくつになると思いますか?」
「・・・。 7、です。」
「では、チームの本来の力を
数値で表すと?」
「・・・。 あぁ、大きいですね。
2,470という数字が浮かびます。」
「面白い数字ですね。
しかし、7 と 2,470 ですか。
まだ今のチームは、まったく本来の力を
発揮していないのですね。」
「そうですね。
確かに、彼らの力はまだほとんど
眠ったままです。
脱皮しなきゃ、ですね。」
「その脱皮、弓江さんが起こしますか?」
「えっ? 私にできますか?」
「はい。
当初は私が直接皆さんの脱皮のサポートをしようと
思っていましたが、
弓江さんが彼らの脱皮をサポートする、
ということを大切にしていこうかな。」
「もしそれが可能であれば、
ぜひお願いします!」
大事な方向性が
見つかりました。
つづく
人やチームが脱皮する時に
大切にすべき原理原則の3つ目は、
『物事を深く考えない。
表面上のことだけに目を向ける』
・・・ということでした。
(→前回記事)
私は弓江さんに問いました。
「その原理原則を大切にすると、
これから新規事業プロジェクトが脱皮を
きちんと完了するために、
何が必要だと思いますか?
表面上のことで良いですよ。」
う〜ん、と弓江さんは考え込みました。
すると、木村さんが口を挟みました。
「そういうことで言えば、
さっき弓江が言っていた、
ペアが良くない、
ペアを変えるべき、
ということのような気がします。」
「あぁ、なるほど!」
もともと、新規事業プロジェクトチームが
脱皮をしようとしていることに
気づけたきっかけは、
「ペアを変えるべきではないか」
という検討課題が出されたからでした。
(→【一つになることで、すべてがどんどん晴れ渡っていく】)
新規事業プロジェクトチームは
基本的には二人一組で活動をするそうです。
そのペアの組み合わせが良くないと
弓江さんが直観的に指摘しました。
しかし、二人ともこれまでは
今のペアの組み合わせが最善であると
思っていたのです。
しかしこの二人コーチングの場で考えると、
今のペアに違和感ばかりが出る、
ということでした。
私はその二人の話を聴いて、
なるほど、今のこのプロジェクトチームは
脱皮をしようとしているのだ、
これまで最善だと思っていたことが、
最善ではなくなるんだ、
だから、脱皮のために必要な変化を
ここで起こさなければならないんだ、
ということに気づいたのでした。
そうするとやはり、
「ペアの組み合わせを変える」
というのは、
脱皮のためにも必要なことのように
思えます。
「では、一度、
ペアの組み方を発想してみましょうか。」
「はい、まずは。
それをしないと次の発想が出ない気が
します。」
「これまでのペアというのは、
・お互いの能力が補完できること
・相性がいいこと
を基準にして組んでいたのでしたね?」
「はい。」
「では、これからの基準はどうします?」
しばらく木村さんは
無言でいました。
そして私に何とも言えない不思議な
目を向けてきました。
「たけうちさん、・・・
ちょっとわけがわからないのですが・・・。」
「どうしました?」
「ペアをどう変えようか?と考えようとすると、
富士山が噴火しているイメージばかりが
頭の中に出てくるんです。」
それを聴いて、
弓江さんの目が、
キラッと楽しそうに輝きました。
その二人の様子を見て、
あぁこれは「実在」だな、と私は思いました。
「木村さん、いい傾向ですね。
それは単なるイメージではなく、
木村さんの真本音発想がカタチになった
ものですよ、きっと。
私の言うところの、実在、というやつです。
だいぶ、発想が柔らかくなりましたね。」
木村さんは少し
照れ臭そうに笑いながら言いました。
「でも、イメージは鮮明ですが、
意味がよくわからないのです。」
「じゃあ面白いので、
意味がわからないままで
ペアを組み直してみましょうか。」
「そんなことができるんですか?」
つづく
人や組織が「脱皮」をする時、
平常時とは真逆の原理原則が
働くことがあります。
その一つが、
『不安定をどんどん自分に与え、
しかも無茶をするとよい』
ということでした。
(→前回記事)
さらに、原理原則をご紹介しましょう。
それは、
『未来のことは考えない。
刹那的になるとよい。』
ということです。
脱皮時に、未来のことを発想をしても、
真本音の発想は、
一つも出てきません。
一つも、です。
たとえその時に「これは良いアイデアだ」と
思ったとしても、
脱皮を終えた後で振り返れば、
ほぼ間違いなく、
「どうでもいいこと」に思えてきます。
脱皮の時というのは、
私達は、脱皮そのものに対して
必死になります。
それ以外のことには、
エネルギーをかけないようになります。
ある意味の、省エネです。
特に、未来の発想に関してのエネルギーは
ほぼ、ゼロになります。
そんな状態での発想は、
それこそ悪い意味での刹那的な発想に
過ぎなくなります。
むしろ私は、
脱皮時における未来発想は、
すべて「捨てるべき発想です」と
断言してしまうことも多いです。
ですので、そういったことはやめて、
「今この場をこなすこと」
のみを考えればよいのです。
前回、私は
「脱皮時こそ、自由発想しよう」
ということを書かせていただきましたが、
その自由発想とはあくまでも、
「今、どうするか?」
ということに関する自由発想である
ということになります。
要するに、
「今」
に集中するのですね。
「今のみ」
に集中するのです。
これが、脱皮時における原理原則の
二つ目です。
さて、
原理原則の3つ目をご紹介します。
これについては、
木村さんと弓江さんの二人コーチングの場面に
戻りましょう。
私はお二人に脱皮についての解説を
しました。
その上で、次のように問いました。
「この二人コーチングの真の目的は、
これから脱皮を迎えようとしている
新規事業プロジェクトチームに対して、
何ができるか?
何をしてはならないか?
を発想することだとわかりました。
そんな視点で、
お二人から何かアイデアはありますか?」
二人はじーっと考えていましたが、
弓江さんが口を開きました。
「せっかくですので、
私は脱皮をするならとことん脱皮をした方が
よいと思うのです。
ですので、新規事業プロジェクトの理念とか
方向性とか、改めてゼロベースで考え直すというのも
面白いと思います。」
これは非常に素晴らしい意見ですが、
実は、
「ゼロベースで考え直す」
というのは、平常時にこそすべきことだと
私は思っています。
私は、本当のリーダーとは、
常に、あらゆることをゼロベースで発想し直す人である
と思っています。
ゼロベースからの発想は
非常に意義深いものが多いです。
しかしそれは
平常時にこそ、毎日続けることです。
では、脱皮時はどうでしょう?
脱皮時の原理原則の3つ目は、
『物事を深く考えない。
表面上のことだけに目を向ける』
ということなのです。
つづく
木村さんと弓江さんの二人コーチング。
このままでは新規事業プロジェクトはダメになる、
という二人の危機感が
実は、根底にあることが明らかになりました。
そして、それを打開するためには、
根本的改革よりも、もっと簡単な何かを変えることが
重要である、
ということがわかりました。
(→前回記事)
「で、その方策は、
そろそろ弓江さんの中から
出てきそうですよ。」
「えぇ? 私からですか?」
私達は「一つ」になっていました。
そうなるともう、次に誰から発想が出るか?が
手に取るようにわかるのです。
私は弓江さんから、
「答えがわかりました」という空気感を
受け取っていました。
だから弓江さんに振ったのです。
「弓江さん、まずは表面的なことでよいです。
新規事業プロジェクトチームに関して、
何に違和感がありますか?」
「そういうことでしたら、
さっき木村リーダーが言われたことが
とてもしっくりきます。
つまり、真剣な人とそうでない人の差が
出始めているということです。」
「それは、弓江さんも感じるのですね。」
「はい、感じます。
さきほど木村リーダーがそう言われて
その通りだ、と思ったんです。」
「ではなぜ、真剣な人とそうでない人の差が
広がっているのでしょうか?
木村リーダーのリーダーシップに問題あり、
ということではなく、もっと表面的な問題は
ありませんか?」
しばらく弓江さんはじっと考えていました。
そして、ハッと頭を上げました。
「ペアが良くないです。」
弓江さんの説明によると、
新規事業プロジェクトは多くの場合、
二人ずつのペアを組んで
仕事に取り組んでいるようです。
その組み合わせが良くない、と
弓江さんは言っているわけです。
「今のペアは木村さんが
お考えになったのですか?」
「はい、そうです。」
「どのような視点から考えられたのですか?」
「2点から考えました。
一つは、能力面でお互いに補完し合えるかどうか?
ということ。
もう一つは、お互いに気が合いそうかどうか?
ということです。
私は、ベストの組み合わせだと思っていたのですが・・・。」
すると弓江さんが言いました。
「確かに私も、いい組み合わせだなと
思っていました。
でも、今ふと、違和感が出たんです。
なぜでしょうか。」
私は問いました。
「木村さん、今ここで改めてペアの組み方について
考えると、どんな感覚がします?」
「不思議なことに、
私も違和感しか出てきません。
なんででしょう?
理由がわかりません。」
この一言で私は
合点がいきました。
すべての意味がわかった気が
したのです。
そして、今回のこの二人コーチングの
真の意味もわかりました。
ようやく私の心の中が
スッキリと晴れ渡りました。
「なるほど、そういうことなんですね!」
と、今度は私が叫びました。
二人はキョトンとしました。
つづく