糸の切れた凧

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細い糸で
繋がれた
凧。

ほんの
わずかな
刺激で

糸は
切れる。

切れたら
もう
どこに
飛んでいくか
わからない。

だから
慎重に
慎重に。

が、

そんな私の
親心にも似た
気持ちなど
つゆ知らず。

凧は
暴れ回り、

儚く
糸は
切れた。

・・・・・・

そうなったら
もう
私の範疇
では
何もできない。

暴れながら
制御を
失い、

ただただ
混乱のままに
どこまでも
飛んでいく。

果てしなく
果てしなく。

あっという
間に、

凧は姿を
消した。

無限に広がる
青空のみが
目に映える。

・・・・・・

普通は
もう
諦めるしか
ないのだが。

でも
諦めるわけ
には
いかないのも

真実
なんだ。

見えなくなった
はずの
凧も

実は
ここに
ある。

実在の
レベルでは。

それと
一つに
なる。

大混乱と
後悔が
伝わって
くる。

自分自身の
気持ち
として。

・・・・・・

おい、
凧よ、

どうするんだ?

どう
したいんだ?

凧は
答えない。

ただ
混乱する
のみ。

落ち着き
なさい。

と、
手を
添える。

スーッと
何かが
抜けていく。

途端に
凧は
落ち着いた。

私と
目を
合わせない。

が、
強引に
合わせさせる。

しばらく
凧の目は
痙攣のように
なっていたが、

間もなく
私の目を
まっすぐに見た。

おい、
どうしたいんだ?


改めて問うと、

戻ります。

と、
細々とした
声が
返ってきた。

・・・・・・

で、
凧は
自ら帰って
きた。

遠い空の
一点から
徐々に姿が
現れた。

ボロボロに
傷ついて
いる。

でも、

こうやって
自分の意志で
飛べるように
なった。

自立の
一歩手前の
自律
くらいには
なれたな。

もう一度、
訊いた。

おい、
どうするんだ?

ここで
しっかり
力をつけます。

基盤を
つくります。

その上で
飛んでいくことに
します。

もう、
糸は必要
ありません。

ようやく
凧は、

笑った。

つづく

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