開き直って進もう

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もう

10年以上前の

ことだ。

 

ある企業様での

研修直前。

 

研修会場に

着いてから。

 

私は突然、

すべてが

怖くなった。

 

研修で

皆さんの前に立つ、

そのこと自体も

 

とてつもなく

怖くなった。

 

私は

研修会場を

飛び出した。

 

・・・・・・

 

外は、

土砂降りの雨

だった。

 

ちょうどその時

前線が上空を

通過していたのだろうか。

 

あまりの雨の

勢いで、

私は傘ごと

潰されそうだった。

 

私は

あてもなくさまよい、

気がつけば

ある小さな公園に

いた。

 

土砂降りなので

当然

誰もいない。

 

私は公園の広場の

中央に立った。

 

凄い雨。

 

傘を打つ

雨の音と勢いが

凄まじい。

 

そんな中

私は自分の足元

だけを見ていた。

 

このまま

いなくなってしまいたい。

 

もう人生が

終わってほしい。

 

自分の足に

降りかかる水飛沫を

見ながら

思った。

 

本当に

すべてが

怖かったのだ。

 

・・・・・・

 

どれだけの時間、

そうしていたの

だろう。

 

実際には

5分とか10分くらい

だったのかも

しれない。

 

足元を見ながら

私は空っぽに

なっていた。

 

もうここからは

一歩も動けない

気がした。

 

その時、

ふと、

 

私は

誰かから

応援をされている

感覚に襲われた。

 

それも

ただの応援では

ない。

 

もの凄い数の

人達の

もの凄い勢いの

応援。

 

まるで

今の土砂降りの

雨音が

 

歓声のように

聴こえてきたのだ。

 

私は

顔を上げて、

空を見上げた。

 

雨は

相変わらず

凄い。

 

近くに少し巨大な

木が立っていた。

 

その木が

まるで私に

笑いかけているように

映った。

 

「大丈夫だ。

私達はいつも

応援している」

 

と、

木に語りかけられた

気がした。

 

そうだ。

 

この応援を

必要としている人達が

たくさんいるの

だった。

 

私はこれから

その人達の前に

立つのだった。

 

急に私は

我に返った。

 

その途端に、

今、私を包んでいる

土砂降りの雨が

 

とても

心地良いシャワーの

ように感じられた。

 

シャワーが

私の中にあった

何物かを

洗い流して行く。

 

シャワーが

すべてを

洗い流して行く。

 

ふと

思った。

 

私の人生は

私が

進めて行くしか

ないんだな、

と。

 

他の誰も

それは

やってくれないんだな、

と。

 

そっか。

 

私がやるしか

ないんだ。

 

私は

自然に呟いていた。

 

「あー、オレ

開き直っちまったよ」

 

多分、

他の誰かが

その時の私を

見たとしたら、

きっと私は

笑顔だっただろう。

 

「気持ちいい

雨だなぁ」

 

と、

さらに私は呟き、

 

次の瞬間、

研修会場へと

駆け出していた。

 

ギリギリ

セーフ。

 

私は、

これまでにない

清々しさの中で、

 

何十人もいる

皆さんに

「真本音」について

語った。

 

これまでに

ない

語り方ができた。

 

語りながら、

あぁ、真本音って

こういうことか。

自分自身で

学んでいた。

 

・・・・・・

 

人間なんて

弱いものさ。

 

弱いからこそ

立ち向かうことに

価値が生まれる。

 

自分の人生だ。

 

開き直って

進もう。

 

開き直れば

真本音度合いも

上がるさ。

 

つづく

 

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