あの人に近づこう

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一本指を
立てている。

何かを
呟いている。

あと
一度だけ!

か、

おぅ、
いいねぇ!

か、

この指
止まれ!

か。

意味は
わからないが
あの人は
じっと
一本指を
立てている。

顔は
結構、
寂しげだ。

でも確かに
何かを
期待もしている。

一本指を
立てながらも、
目は
どこか遠くを
見つめている。

虚ろ
ではない。

むしろ
意志がある。

冷静に
見えても、
奥の方で
フツフツと
煮えたぎる意志だ。

もう、
隠すことは
ない。

もう、
始めるのだ。

そうか。

自己開放

しようと
しているのか。

であれば、
私は
あの人に
近づこう。

そうか。

あの指は
アンテナか。

特殊な
波長の。

私はそれに
引っかかった
というわけだ。

つづく

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