ここにある未来

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とてつもなく

広い通りがある。

 

私はその中央に

立っている。

 

気がついたら

ここにいたのだ。

 

人々が

たくさんいる。

 

皆、思い思いに

歩いているのだが、

 

私がキョロキョロと

周りを戸惑いがちに

見渡していると、

一斉に私に注目した。

 

皆が笑顔を

向けてくる。

 

何か、笑いながら

話しかけてくる。

 

でも彼らの言葉が

わからないのだ。

 

にも関わらず、

私も何故か笑顔に

なった。

 

笑いながら

彼らと握手をした。

 

どんどん皆が

来る。

 

凄い人数だ。

 

一人ひとりと順番に

握手する。

 

なんと私は

知らないうちに

自分でも何かを喋っている。

 

勝手に口が

動くのだ。

 

自分で喋っているのに、

自分の言葉が

理解できないでいた。

 

俺はいったい

何をしてるんだ?

 

と疑問符ばかり

なのだが、

そんな気持ちとは

裏腹に

私は笑顔で彼らと何かを

話しながら、

一人ずつと丁寧に

握手を続けた。

 

ポタっと

何かが落ちた。

 

見ると、

涙のようだ。

 

私が泣いている

のだ。

 

なんだこれは?

 

彼らも皆

泣いていた。

 

泣きながら

笑っていた。

 

それを見ながら

私は理解した。

 

そうか、私は今、

彼らと再会しているのだ、

と。

 

・・・・・・

 

広い通りは

真っ直ぐに彼方へと

続いている。

 

皆は私を手招きした。

 

「あっちですよ」

私を導いてくれている

ようだ。

 

道の彼方は

眩しく輝いていて

その先がどうなっているのか、

よくわからない。

 

しかし彼らの導きの

ままに、

私はその道を進んだ。

 

気がつけば

彼らの姿はもう見えず、

 

私は一人で

光の中を歩いていた。

 

私の涙は

さらに増えているようだ。

 

どこに向かっているのか、

私にはさっぱり

わからないのだが、

 

でも一方では

私はすべてを

知っていた。

 

あぁ、確認だな。

 

わかった。

 

私は未来を一度、

きちんと確認しようと

している。

 

そのために

ここに来たのだな。

 

確認できたら、

そこでの記憶は

消えるのだろう。

 

それがわかっていて

私はあえて

ここに来たのだな。

 

記憶に残らずとも

刺激は残る。

 

その刺激を

私は私に与えたかった

のだな、と。

 

であれば

迷うことはない。

 

この光の先を

見てみようか。

 

私はさらに

歩を進めた。

 

そしてやはり、

そこから先の

記憶は消えた。

 

・・・・・・

 

必要な刺激は

ちゃんと手に入った

のだと思う。

 

かなりさっぱりした

感覚なので、

きっと私は

良いものを見ることが

できたのだと

思う。

 

いや、

そう思うことにしよう。

 

未来は

わからないからこそ

価値がある。

 

わからないからこそ

人生を

人間であることを

噛み締めることが

できる。

 

人としての

最善、最大の一歩を

これからも

進むだけだな。

 

つづく

 

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